アローン(原題:SEULS)
年 | 2018年 |
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時間 | 98分 |
監督 | ダヴィド・モロー |
レイラの兄は意識不明で入院中。兄を見舞った帰りに移動遊園地で遊び、翌朝目覚めたら自分以外の人間が町から消えていた…!? レイラは人が誰もいない町をさ迷い、やっと2人の少年少女と出会う。警察で出会った男とビルで助けを求めていた少年も加わり5人で謎を探る。町を囲む謎の霧、5人を襲う謎の襲撃者、それらをかわしながら、やっと無線で連絡のついた救助を待つ5人だが…?
原作はフランスの漫画だそうです。「メイズランナー」のようなティーン向けSFふうファンタジー、つまりそういう系の作品ですね。新作レンタル4枚1000円の数合わせで鑑賞。地雷を踏んで動けなくなる映画ではありませんので、ご注意(タイトルが同じなので間違えて借りる人いそう)。
つかみはそこそこ。朝起きたら誰もいなくなっていた──というのはSFファンタジーでは時々ある設定ですが、やっぱり何でだろう、どうしてこうなったのだろうという部分に引きつけられるし、個人的にこういうの好きなのもあって楽しく見ました。主人公のレイラ(女の子です)が冷静で皆を率いるリーダーシップと行動力があるタイプで、そこはよかったです。他にテリー少年、メガネ少女カミーユ、富豪の息子イヴァン、警察で出会ったドジ、それぞれキャラは立っていて、少年少女5人組の冒険ものとして成立はしてます。
誰もいない都会というのもけっこう新鮮。携帯は通じないが灯りはつく。町の周りを謎の霧が取り囲んでいて、その霧に入るとヤバイ感じなので霧を避けて動く。謎の襲撃者が現れるので5人以外にも人はいるらしいが、誰なのか何故襲撃するのか不明。この手の作品は「何故」の答になるオチが命なのですが、この作品ではどうだったのか?
<ネタバレ>
謎の状況で謎の襲撃者に襲われるのはスリラーとしてはそこそこだったと思う。冒頭から誰かに観察されている様子が描かれてるし、ドローンが不気味に偵察して回るのもSFホラーを思わせてくれてよい。レイラたちの追い詰められ方や恐怖も伝わった。が、よかったのはそこまで。救助の無線が襲撃者の仕掛けたものだったと分かった辺りから話が期待してたのとは違う方向へズレ始める。
まさかの死にオチ…! 誰もいないのは実は死後の世界だったからで主人公たちは遊園地の火事の犠牲者でした!? て、ちょっと待て、これ「やってはあかんやつ」でしょう、これをやったら夢オチと同様、何でもありになってしまうので作品が意味を持たなくなってしまう。この手のネタは夢オチでも死にオチでもない方法で、オチまでの状況に全て整合性を取った上で納得いく説明が出来てこそ「そうきたか!」と思わせてくれて面白くなるのです。SFを期待していただけにがっかり。
ファンタジーとして見た場合も、このオチにする必然性がないと苦しいです。話を兄のエピソードに絞って、自分が死ぬ代わりに兄が目覚めるという部分をもっと掘り下げれば違う方向で感動を取れる作品になったかもしれないので残念。襲撃者が実は死後の世界のリーダーでした?の部分は意味不明だし蛇足に思う。意外性を狙ったとしても、意外性にも必然と理由は必要。
オチが駄目でもオチ以前の展開にそれを上回るパワーと魅力があればまだよかったが、そこまででもなかった。ちょっと狙いが散漫だったように思います。
それとも、SFふうスリラーは前置きで、これから「死後の世界」という設定の「異世界」でレイラたちとリーダーの戦いが始まる…と言うことなのでしょうか。異世界ファンタジーやりたいけど、よくある中世ふう異世界ではありきたりなので死後の世界にしてみました、みたいな。原作は知らないのですが、ティーン向け漫画なら、もしかしてそっちの方向?