エクソシスト

エクソシスト ディレクターズカット版 & オリジナル劇場版(2枚組)BD

1973年
時間 122分
監督 ウィリアム・フリードキン

イラク北部で発掘された悪魔の偶像に何かを感じるメリン神父。女優のクリスは娘のリーガンとワシントンで暮らしていたが、リーガンの身に異変が起きる。だが体には異常がなく医者にも原因が分からない。医者に悪魔払いを提案されたクリスは近くに住むカラス神父に助けを求める。教会は悪魔払いの経験があるメリン神父を呼び寄せた。カラス神父とメリン神父はリーガンに取り憑いた悪魔を払えるのか!?

公開当時はいろいろと話題になったホラー映画の代表格。スカパーの映画チャンネルが流してくれたおかげで久しぶりの再会となりました。キリスト教圏の人から見たらもっと深い意味があったのかもしれないけど、日本の子ども向きの雑誌では少女の体が宙に浮くとか、首が360度回るとか、ショッキングなシーンが大きく取り上げられ、特撮凄いぞな方向で盛り上がっていた気がします。あまりに話題になるので、映画を見るに先立ち小説も読んで万事備えた記憶が。その当時読んだ小説はもう手元にないのですが、映画も小説にほぼ忠実だったように思います。

愛らしい少女が悪魔に取り憑かれて変貌していく様は今見ても十分怖いしすごいと思う。予想外の動きをすることもあって驚けます。しかし現代では信心は薄れ、どう見ても超常現象なのに、科学的に解明しようとする医者には精神的なものだと言われる。医者の提案は「悪魔が憑いていると思い込んでいる患者なら悪魔払いの儀式を行えば悪魔が去ったと思ってくれるかも」と言うものですが、ともかくもクリスはそれに賭けてみることにする。

話はクリス&リーガン側とカラス神父側が平行して描かれます。冒頭のメリン神父が再登場するまでがけっこう長いですが、カラス神父の事情も大事なのでそこはちゃんと見ておくべし。人の心理に攻撃をかける悪魔はまさに自分への問いかけ、みたいなところはありますね。なお、最初の方でクリスとリーガンが遊んでいたボードは「こっくりさん」みたいなものです。

<ネタバレ>

今見ると首360度回転は人形だなあと分かるけど、リーガンが後ろ向きに階段をダダダッと駆け下りてくるシーンは記憶になかったこともあって、驚いた、驚いた、どうやって撮ったんだ、あれ。一瞬エイリアンかと思うほど人間離れした動きだった。クリスでなくても肝を潰すわ~。でも何でこんな衝撃的なシーンを忘れていたんだろうと思ったら、今回私が録画して見たのはディレクターズカット版で劇場公開版にはなかったシーンだそうで。どうりで記憶になかったわけです。おかげでめっちゃ驚けてよかった?けど。リーガンを演じた役者さんもすごい演技でしたね。

カラスも現代の人間らしく、神父ではあるが精神医学も修めていて、今時悪魔なんていないという考え方だった。クリスの依頼にも教会の許可が要るの手続きがどうのこうのと逃げ腰だったが、リーガンの体に「助けて」の文字が浮かび上がるのを見て、この少女を救いたいという気持ちになったのだろう。それが悪魔であれ何であれ。

そしてついにあの有名な音楽と共にメリン神父の登場ですよ~悪魔対決の始まりだっ。しかしメリン神父、イラクの発掘現場の時から既にヨボヨボで今にも倒れそうなハラハラ感を漂わせていましたが、やっぱり悪魔との対決はお体に負担が大きかったようで…。悪魔の精神攻撃がけっこうこたえていたカラス神父がお休み中に、1人で悪魔と対決して倒れておしまいになりました。

でもカラス神父はクリスの「リーガンは死ぬの?」の一言で立ち直る。リーガンは死なせない、そのために来たんじゃないか。カラスは悪魔を自分に乗り移らせて窓から飛び降り、自分自身と共に悪魔を葬り去る。母親の死を悔いていたカラスですが、自分のためではなくリーガンのために動くことで悪魔の囁きに勝つことが出来たのかなと。

リーガンの悪魔憑き演技に圧倒される今作ですが、キンダーマン警部がサスペンス色も醸し出してくれてました。思い出の1作です。