クリムゾン・ピーク

クリムゾン・ピーク BD

2015年
時間 119分
監督 ギレルモ・デル・トロ

20世紀初頭。少女イーディスは母の幽霊を見る。成長したイーディスは作家を目指していたが父が死亡、イギリスから来た準男爵トーマス・シャープと結婚しアメリカからイギリスへ渡る。そしてトーマスの古くて大きな屋敷で再び幽霊を目撃。恐怖で体調を崩していくイーディスだが、アメリカでは医者のアランがイーディスの父の死に疑問を持ち調査していた。父の死、幽霊が出るトーマスの屋敷、イーディスを襲う恐怖、その正体と真相は果たして…?

ホラーサスペンス。スターチャンネルの無料期間にやっていたので見てみた作品。見るからにおどろおどろしい幽霊が襲ってくるわ、血まみれになるわで、そっち方面に耐性のない人には怖いかもしれません。でもこれ、見続けてると分かるのですが、実はサスペンス要素も大きいのです。と言うか、ストーリーとしてはむしろホラーよりそっちの方がメインかも。幽霊と血まみれをクリア出来たらサスペンス好きな人にも楽しめるのではないでしょうか。

舞台も魅力的。トーマスのお屋敷が色々と凄いのです。何代も続く貴族とは言え、今はお金も地位もない。ホールの天井には大きな穴が開き、そこから塵や雪が舞い落ちてくる描写は壮観。ゴシックホラーと言われるだけあって、おどろおどろしくゴテゴテした屋敷の内部も見ものです。幽霊が出そうな雰囲気たっぷりで、風が吹くたび屋敷が揺れてギギギ~と嫌~な呻き声を立ててくれるのも効果的。

屋敷の土地は赤土の粘土で、雪が降ると土の赤色が雪に移って地面が一面血のように赤くなる。これがクリムゾン・ピーク。土地の不気味さも屋敷のおどろおどろさに負けていません。トーマスはこの赤粘土を何とか商売にしようと掘削機の開発を頑張っている。地下には赤粘土を溜めた倉庫があるのですが、これも得体の知れなさを醸し出していてドキドキする。檻のようなエレベーターも含めてともかく凝ってます。

<ネタバレ>

ホラーですが、サスペンスでもあるので、ネタバレでないと感想の書きにくい作品。まず幽霊ですが、最初は私も素直に怖がってました。真っ赤な半分溶けたような骸骨みたいなのが襲ってくる! ギャー! だがしかし。実は幽霊は味方だった! 襲ってきたのではなく、主人公に忠告と注意を促していたのです。つまり主人公に幽霊を見る能力があったと言うことですね。母親の幽霊も未来への警告だった。クリムゾン・ピークに注意しなさい、と。でもさ、もっと怖くない姿で現れてくれなくちゃ話聞いてもらえないよ! おかげでせっかくの忠告も届かずイーディスはクリムゾン・ピークに行ってしまうのですよね。

トーマスの屋敷に幽霊が出たのもイーディスに真実を知らせるためだった。トーマスと姉のルシールは掘削機の資金を工面するために金持ちの娘から財産を巻き上げて始末することを繰り返していた。幽霊はイーディスの前に犠牲になった女性で、幽霊が示したヒントからルシールに毒を盛られていたことを知る。イーディスの体調不良は幽霊のせいではなかったのです。てことで、イーディスを騙すのに邪魔&財産巻き上げ目的でイーディスの父を殺した犯人もルシールでした。

イーディスの父の死の謎から真相に辿り着いたアランがイーディスを助けにアメリカからやってくるのですが、本当にイーディスを愛してしまったトーマスは最後は姉を裏切ってイーディスとアランを逃す。ことの発端は弟を愛しすぎたルシールが始めたことなので、当然修羅場に。本当に怖いのは幽霊ではなくて生きた人間の執念だと思った・・・。ラストのルシールVSイーディスの女の戦いは色々な意味で怖い。

ところで、トーマスの幽霊だけ白くてきれいだったのは何でかな。成仏できたからだろうか。イーディスを助けられて思い残すことがなかったからかも知れない。ルシールは黒い不気味な幽霊になってお屋敷でピアノを弾いていたので、トーマスは最後に本物の愛に殉じることで天国へ行けたという解釈でいいのかな。