ウエスト・サイド物語

1961年
時間 152分
監督 ロバート・ワイズ
ジェローム・ロビンズ

ニューヨークのダウンタウン、ウエストサイド地区。ここではヨーロッパ系移民のジェット団とプエルトリコ系移民のシャーク団がいがみ合っていた。シャーク団のリーダーの妹マリアはダンスパーティで知り合った青年トニーと恋に落ちる。だがトニーはジェット団の元リーダーだった。マリアとトニーはシャーク団とジェット団の諍いを止めようとするのだが…。ブロードウェイミュージカルの映画版。

子どもの時に親と一緒に見た映画。もちろん初公開年に見たわけではなく(さすがに無理)、リバイバル上映での観賞です。長いので途中で休憩あります。元はブロードウェイのミュージカルなので、映画も歌とダンスがいっぱいのミュージカル。親が音楽好きで、中でも歌曲や歌劇が好きだったので、ミュージカル映画も好きで子どもにも見せたかったようです。

子の立場としては教育的な押しつけっぽいものも感じなくはなかったですが(映画の後もサウンドトラック聴かされたりしたし^^;)、確かにミュージカルとして素晴らしいですね。まず何よりも音楽とダンスと芝居のマッチングぶりが見事。細かい動作の1つ1つまでピタリと音楽に合っていて、ケンカシーンですら計算され尽くした美しいダンスを見ているよう。役者も皆さんハイレベルなダンサーたちなので、動きを見ているだけでもうっとりします。

物語は「ロミオとジュリエット」のニューヨーク版。対立するグループで恋が芽生える。しかしマリアはシャーク団側、トニーはジェット団側、この対立が2人の恋の行く手を阻む。舞台はニューヨークの下町ですが、バルコニー越しの逢瀬も非常階段で再現されてます。人物関係はシャーク団のリーダーがベルナルドで彼の妹がマリア、2番手がチノ、ベルナルドの恋人でマリアの友人がアニタ。ジェット団のリーダーがリフ、リフの兄貴分で前のリーダーがトニー、2番手がアイス。とこれくらい覚えておけばよいでしょう。

歌はどれも印象強いですが、「トゥナイト」が一番好きかな。マリアとトニーがバルコニーならぬ非常階段で歌うシーンは親も「静かにと言ってるのにあんな大声で合唱してていいのか~」と突っ込んでましたが、決闘に向かってジェット団、シャーク団、マリア、トニー、アニタらの歌が重なって大合唱になっていくところは圧巻。「アメリカ」や「クラプキ巡査殿」には移民や貧民層からの社会への皮肉もあり、歌って踊るだけではないところも見せてます。

<ネタバレ>

ジェット団とシャーク団の対立はウエストサイドの縄張り争い。ついにジェット団のリフがシャーク団のベルナルドに決闘を申し込む。そこでリフが担ぎ出したのが前リーダーだったトニー。2人は一緒に住んでいて兄弟同然の仲。しかしトニーはダンスパーティでベルナルドの妹マリアに一目惚れ。マリアもトニーにひかれるが、ジェット団とシャーク団は敵対どうし、マリアは兄に連れ戻される。しかし非常階段で密かに逢瀬を楽しんだマリアとトニーには固い愛が生まれる。この辺、ミュージカルは心情を歌で表現するので、短い時間でもそれなりに納得できる展開になってしまいます。

マリアと結婚式の真似事をした後で決闘を止めに行ったトニーだけど、思いがけずとんでもないことになってしまう。拳での決闘だったはずなのに、ベルナルドもリフもナイフを隠し持っていて、リフが刺されカッとなったトニーがベルナルドを刺すという最悪の事態に。そういえばロミオとジュリエットもこんな流れだったな。マリアとトニーは2人だけで暮らせる所へ行く約束をするけど、行き違いがあってトニーはマリアが死んだと思ってしまう。

ラストはシェイクスピアとはちょっと違っていて、トニーを失ったマリアが集まってきたシャーク団とジェット団に無益な争いを訴えて、両団が協力してトニーの遺体を運ぶ…という流れになります。マリアは死ぬのではなく悲劇を受け止めて生きる人間として描かれる。この辺、現代的だなあと思う。自分としてはこの方が好き。これでも争いの無益さは伝わるし、両団は和解したと信じたい。

私は「ウエスト・サイド物語」は映画でしか知らないのですが、元々の舞台もよくこんなミュージカルを作れたものだなあと思う。一部学曲の順番が入れ違っているそうですが、舞台も流れは同じみたいです。映画も音楽とのハマり具合が見事過ぎて、映画と言うより舞台劇みたいだなあと思うことも多かった。普通の映画では得がたい感覚があって、それも今作の魅力かなと思います。