ジュラシック・ワールド

ジュラシック・ワールド BD

2015年
時間 125分
監督 コリン・トレヴォロウ

ジュラシック・パークの惨劇から約20年。ハモンドからパークを買い取ったマスラニCEOが装いも新たにジュラシック・ワールドを開園させた。運営責任者のクレアは甥2人を預かることになったが、多忙で秘書に甥たちの相手を任せる。だが新しいハイブリッド恐竜インドミナス・レックスが逃亡し、クリスは行方不明になった甥たちを探しにラプトル調教師のオーウェンとパーク深部に向かうが…。テーマパークが恐竜パニックに!

3作目から14年、恐竜たちが再び銀幕に帰ってきました! 時系列は続いているので、ジュラシックシリーズとしては4作目、ワールドとしては1作目になりますね。舞台は1作目のイスラ・ヌブラル島。経営者が代わってついに恐竜園、ジュラシック・ワールドがオープン! これは興奮します! ザックとグレイ兄弟の目を通して描かれる園内の様子は本当に恐竜テーマパーク。大勢の人が訪れて大盛況、色々な乗物で園内を巡って恐竜を見られるのはもちろん、小型で大人しい恐竜との触れあいコーナーもあります。発掘コーナー、恐竜の知識を得るコーナー、お土産屋やレストランもあって、子どもでなくても行ってみたい!

しかしパークの裏側ではクレアが経営者の立場からあれこれ苦労中。盛況に見えても維持費・運営費は莫大な様子で、クレアはスポンサー獲得に必死。常に新しいアトラクションを用意しないと客に飽きられる、そのために遺伝子工学で多種のDNAを混ぜたハイブリッド恐竜を作り、スポンサーになってくれる人を探す。おかげで甥の面倒も見られないほど暇なし。いやそれ以前に甥たちの歳も正確に覚えてないほどに仕事しか見えてない状態ですね。だからオーウェンともあんな関係なのだな…。

今作では本当に開園してしまったがために、経営者目線で翻弄される生命の倫理がよりくっきり。そしてクレアと対照的なのがオーウェン。彼は何とラプトルと信頼関係を結んでいます! ラプトルに言うことを聞かせるところは今作の名シーン。恐竜を商品として見るクレアと生物として見るオーウェン。インドミナス脱走が2人にもたらしたものは…。

[恐竜メモ]

ヌブラル島が舞台なので野生ではなく人間の管理下での恐竜たちですが、やっぱり恐竜に会えるのは嬉しい。2015年作なのでCGもさすがのレベル。

インドミナス・レックス

今回の騒動の原因。ティラノサウルスをベースにより強大になったハイブリッド恐竜。複数の生物のDNAが入っており、頭もいい。公開前に飼育地から逃げ出す。

ティラノサウルス・レックス

安全に観賞出来るようになってますが…。ティラノサウルスのコーナーは園内でも人気スポットだろうな。

ヴェロキラプトル

さすがに一般公開はされてないようですが、オーウェンが調教しており、ブルー、デルタ、エコー、チャーリーの4体います。

トリケラトプス

園内のあちこちに登場。小さいのは触れあいコーナーにも。

ガリミムス

群で飼育されてます。

モササウルス

海棲恐竜。パーク内のプールで飼われていて餌を取るアトラクションが大人気。

ステゴサウルス

ザックたち兄弟がジャイロスフィア(球形の乗物)に乗っていた時出てきた。

アンキロサウルス

兄弟が立ち入り禁止エリアに入ったところにいました。

アパトサウルス

首長竜。ブロントサウルスとも呼ばれる。インドミナスの犠牲に…。

プテラノドン

翼竜園のドームにいたが、インドミナスのせいでパーク内に散らばる。

ディモルフォドン

翼竜園のドームにいた翼竜。初登場。

この他にも遠景やモニターでチラリと登場する恐竜多数。

<ネタバレ>

インドミナスは最恐の恐竜として描かれてますが、インドミナスを創ったことが一番の最恐だと思う。インドミナスにはイカやアマガエルの他にラプトルのDNAも入っており、頭がいい。アマガエルの能力で不在を装い、壁に爪痕を残して檻の外に逃げたと思わせ、人間に扉を開けさせて逃走。すごい計画的ですね。そして出会った生き物たちを食べるでもなく殺して生命を弄ぶ。それはもう恐竜じゃない。インドミナスは人間の傲慢の化身であり、生命を弄んだ人間へのしっぺ返しそのものだ。

コースを外れた甥たちを探しに来たクレアはインドミナスに弄ばれて死にかけたアパトサウルスに出会う。アパトサウルスの死を看取ったクレアの目に涙が。これまでクレアにとって恐竜は仕事のための道具でしかなかった。しかしこの時やっとクレアにも分かったのだろう、恐竜は道具ではなく生物だと。一方で最後まで分かってない御仁もいましたね…警備担当のホスキンス。ラプトルを訓練して兵器にしようって、恐竜に夢を見すぎ。生物と付き合うには相手を生物としてちゃんと見ないと。

一時インドミナスに取り込まれたラプトルたちがオーウェンとの絆を思い出し、インドミナスに立ち向かっていくところは感動もの。クレアも捨て身でティラノサウルスを呼びに行くがあのハイヒールでよく走れたなあ。インドミナスvsラプトル&ティラノサウルスは素直に燃えるべし。しかし最後に一番美味しいところをモササウルスが持っていっちゃうとは思わなかったわ~。

恐竜大暴れの影で人間ドラマも心に残りました。微妙な関係(禁止区域に入ったのもそれが原因)だったザックとグレイは真の危機に接して兄弟の絆を結び直します。弟を相手にしてなかったザックの目がしっかりグレイに向くようになる。兄弟と両親の関係、クレアと姉の関係も。今回のことでクレアとオーウェンの関係も修復、2人は新たな絆を結ぶ。

今作は人間の傲慢さをインドミナスに託す一方で、恐竜テーマパークを体験させてくれるアトラクションムービーでもありました。映画館の大画面で3Dで見ればもう本当にジュラシック・ワールドへ遊びに行った気分になれる。それも今作の大きな魅力です。