ロスト・ワールド / ジュラシック・パーク

ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク BD

1997年
時間 129分
監督 スティーヴン・スピルバーグ

前作から4年。恐竜の島は実は2つあった。サイトAがジュラシック・パークのあったヌブラル島、サイトBがパークに供給する恐竜を育てていたソルナ島。ソルナ島では恐竜たちが自然な生態系を作り繁殖していた。マルコムはハモンドから依頼を受けソルナ島の生態調査に行く。しかしパークの再建を目論むハモンドの甥ルドローがハンターを引き連れてソルナ島に現れ、恐竜狩りを始める。恐竜を守りたいマルコムたちだが…。

「ジュラシック・パーク」の続編です。今作で恐竜のいる島はもう1つあったことが明かされます。ソルナ島は繁殖用の島。ハリケーンで島の施設が壊れてからは恐竜たちは無人の島で自分たちの生態系を育んでいました。まさにロスト・ワールド状態になっていたのですね! これは邪魔しちゃいけません、恐竜たちにとっては奇跡の島、そっとしておいてあげなければ。しかしロマンだけで恐竜を見る人だけじゃない、社の利益のため恐竜たちの世界を荒らしにくる輩も出てくるわけで…。

前作の惨事でインジェン社の会長を退いたハモンドはソルナ島の恐竜を保護しようと考えるようになっていた。しかしハモンドに変わり会長になった甥のルドローは恐竜で会社を建て直したいと考え、ソルナ島に恐竜捕獲軍団を差し向ける。今作でも人間が自然に介入することへの批判が行われてますが、恐竜へのロマンよりも恐竜パニックな傾向の方がより強まっている気がします。

そのせいか前作のアランのような立ち位置のキャラ(恐竜にロマンを感じられる人間)がおらず、今作の登場人物は敵味方両陣営ともけっこう身勝手な御仁が多い気がする。今回主人公を務めるマルコムは前作の体験が尾を引いて恐竜を恐れる気持ちの方が強く、マルコムの恋人のサラは古生物学者の割には注意が足らず、写真家のニックは環境保護意識が強すぎ、ルドロー陣営もルドローは言うに及ばず、ハンターのローランドは自分のハンター美学のためにT-レックスを狩ろうとしている。彼らの行動が自ら惨事を招きよせるようなことになってます。

てことで人間はもういいから(^^;、いっぱい出てくる恐竜たちを楽しむべし。捕獲シーンは恐竜たちはかわいそうだけど見どころではあります。

[恐竜メモ]

今作にも恐竜いっぱい出てきます。自分勝手な人間たちなんかに負けずに頑張れ、恐竜! 説明は映画設定によります。

コンプソグナトゥス

冒頭の女の子の前に現れたのがこれ。小さいけど肉食。

ステゴザウルス

みんな大好きステゴザウルス、ついに登場。しかも親子で。

バキケファロサウルス

超固い頭を持っている。頭突きが得意。

ハドロサウルス

草食竜。パンフに載ってましたがどこに出てたんだろ?

マメンチサウルス

首長竜。捕獲シーンで出てきます。

パラサウロロフス

頭の後ろが冠のようにぐーんと延びてる。捕獲シーンで出てきます。

ガリミスム

前作にも出てきましたが、今作も捕獲シーンに登場。

トリケラトプス

捕獲シーンの檻の中で見かけました。

ティラノサウルス・レックス

親子3体でファミリードラマを披露。今作の真の主人公(と私は思っている)。

ヴェロキラプトル

やっぱり締めはこいつかっ。

プテラノドン

ラストのみ。

<ネタバレ>

マルコムには娘がいて調査隊にこっそり入り込んでついてきちゃう。主人公陣営を親子にすることで、ティラノサウルス親子と対にしてみたのだとは思いますが、その効果は薄かったかな…。取りあえずマルコムが恐竜怖いから恐竜助けろになって、親子の関係も上手く行くようになってよかったかなと。

サラとニックは突っ込みどころが多くて困ったものでした。ティラノサウルスの子どもを助けたい気持ちは分かるが、ティラノサウルスには子どもを手当してくれてるなんて分からないだろう…。更に子の血が付いてる服をそのまま着続けてティラノサウルスをおびき寄せてるし。前作のレックスみたいに恐竜には素人な子どもならともかく、サラは大人それも専門家でしょう? ローランドの方がまだ頼もしく思えてしまうくらい。個人的に今作の一番の健闘賞はエディだと思ってます。調査チームの中で一番まともだったのにサラたちのために…。合掌。

終盤、ティラノサウルスがサンディエゴで暴れるのはちょっとやりすぎかなと思いました。恐竜はモンスターじゃないんだぞ。マルコムたちがティラノサウルスの子どもを助けて、子どもと一緒にソルナ島に帰れてよかった。お母さんティラノサウルスもきっと心配して待っていたでしょう。実際のティラノサウルスの生態がどうだったのかは分かりませんが、化石からは家族を持つなどの社会性もあったのではないかと考える説もあるそうです。

人間たちに散々振り回されたソルナ島の恐竜たち。人間の勝手で生み出してしまった生命にはせめて「保護区を設けて見守る」くらいのことはして責任を取りたいものです。島ならそのまま保護区にできるから、そっとしておいてあげたいですね。