ジュラシック・パークIII

ジュラシック・パークIII BD

2001年
時間 94分
監督 ジョー・ジョンストン

ソルナ島がコスタリカ政府の保護下になって数年。アランは金持ちらしい夫婦にソルナ島への案内を頼まれる。発掘の資金に窮していたアランは助手のビリーと共に案内役を引き受けるが、到着後すぐに恐竜に襲われて飛行機が壊れ、アランたちは恐竜の闊歩する島を縦断しなければいけなくなる。しかも金持ち夫婦の目的は観光ではなかった。次々と現れる恐竜たちを前にアランたちは無事島から出られるのか!?

ジュラシック・パークシリーズ3作目。時系列的には2作目「ロストワールド」の次になりますが、話の内容は全く別で2作目の続きではありません。今作の主人公はアラン・グラント博士。2作目がマルコム主人公のエピソードなら、3作目はアラン主人公のもう1つのエピソードという感じですね。登場人物も一新されているので、ソルナ島を舞台にした独立した話として楽しめます。

2作目は恐竜へのロマンよりも人間の傲慢さの方が前面に出ていた感じですが、今作ではロマンへの回帰も行ってくれてます。さすがのアランも1作目の後は創られた恐竜はもうこりごり!になってたようですが、研究資金のためつい金持ち夫婦の謝礼に動かされて案内役を承諾してしまう。しかし空から恐竜の説明をするだけのつもりでいたら、なんと島に着陸されてしまい、アランの心配が現実に。それでも研究者の根底にあるのはやっぱりロマンだと思うのですよ。化石のラプトルとアランの仮説を実証してくれる生きたラプトル。アランはそこに何を見出すのか。

今作は2作目とは違って、恐竜の生態を尊重するという考えの方が前面に出ているところがいいです。ソルナ島の主役は恐竜。そこを人間が通らせてもらうには恐竜への正しい知識と理解が必要だと思うのです。今作が見せてくれているのは傲慢さが招く危機ではなく、生きるために必要なサバイバル。だから危機も面白い。まさしく冒険アドベンチャーですね。

[恐竜メモ]

3作目にも恐竜がいっぱい。人間世界から隔絶された環境でのびのび生きる恐竜たちをどうぞ。

ブラキオサウルス

首長竜。序盤で上空から群れているところを見られます。

スピノサウルス

今作の襲い役。背中に背びれみたいな突起がある。ティラノサウルスとガチバトルをやってくれます。

ティラノサウルス・レックス

今回はスピノサウルスとマッチバトル要員。

ヴェロキラプトル

これまでに増して賢さを披露。卵も登場。

パラサウロロフス

群で登場。この中にアランたちが紛れてラプトルから逃げようとする。

コンプソグナトゥス

某キャラの隠れ家の周りにチラリと登場。

アンキロサウルス

鎧みたいな背中を持つ。人間たちの横を通行。

ステゴサウルス

今作にも出てます。

コリトサウルス

草食竜。頭部に薄い骨でできたトサカがある。

プテラノドン

待ってましたー、空飛ぶ翼竜! 終盤の主役。

ケラトサウルス

一瞬ティラノサウルスかと思うが、頭に角がある。

<ネタバレ>

金持ち夫婦と名乗ったポールとアマンダは実は小さなタイル塗装屋だった。パラグライダーを楽しんでいた息子のエリックがソルナ島で行方不明になったので探しに来たのが真相。ソルナ島はコスタリカ政府の保護下で上陸が許可されないので、アランたちを騙して島の案内役にした次第。ポールたちが雇った他のメンバー(操縦士とか)は皆犠牲になられて痛ましいことですが、命の危険も顧みず我が子を探そうとする親心は分かる。

エリック少年が1人で2ヶ月もソルナ島で生き抜いていたのはびっくり。知恵と工夫を凝らして恐竜たちと暮らす根性は凄いけど、恐竜は怪獣じゃないんだから、サバンナやジャングルで野生動物相手にサバイバルするのと基本は変わらないのではという気がする。

今作の襲い役新顔はスピノサウルスとプテラノドン。スピノサウルスは情け容赦ない重量級の怖さを見せてくれましたが(犠牲者の持ってた携帯がお腹に入ってるのも恐ろしい)、プテラノドンはどんなに襲ってきても「プテラノドンを見られたあ~~」という感激が怖さを押しのけるわー。空を飛ぶ翼竜が相手だとアクションも立体的かつダイナミックになりますね。

そしてドラマ方面で主役を務めたのがラプトル。アランはラプトルが社会性を持ち会話も行うのではと考えた。ビリーはラプトルの化石から会話に使ったと思われる共鳴腔を再現。ビリーはよき助手でしたが、実際にラプトルの卵を目にした時、つい2個持ち帰ってしまいました…。おかげでアランたちはラプトルに追われることになる。卵を取り返すためにどこまでも追って来るラプトルしつこいですが、息子を助けるためにどんな手を使ってでもソルナ島に乗り込んできたアマンダたちもしつこさは同じだろう。子を思う親の心は恐竜も人間も同じ。

"会話"しながら近づいてくるラプトルたちに卵を返し、ビリーの作った共鳴腔を吹くアラン。通じた!? ラプトルたちは卵だけ取り戻して去っていきました。これはロマンです。恐竜たちはどんな生活をしていただろう、どんな社会を形成していただろう、遠い昔の恐竜たちに思いをはせる、それが恐竜へのロマン。ジュラシック・パークにロマンが戻ってきました! そして多分アランにも。ラストで飛び立つプテラノドンを追うカメラが映していたのは間違いなくロマンだった、と思っています。

余談:エリックのために犠牲になったと思われたビリーが生きててよかった! 1作目のエリー・サトラーは外交官と結婚してましたがアランとはいい友だちという関係かな。アランからの電話で軍隊呼ぶとはやりますね。