ピクセル

ピクセル BD

2015年
時間 105分
監督 クリス・コロンバス

ゲーム大好き少年のサムは1982年のゲーム世界大会で2位に甘んじ、以降はさえない人生を送っていた。33年後、NASAが宇宙に送ったメッセージを見たヴォルーラ星人が中に入っていた82年ゲーム大会を宣戦布告と勘違い、地球にゲームで攻撃を仕掛けてきた。82年のゲームが具象化されてギャラガやパックマンが地球で暴れ回る! サムは少年時代の腕を買われてかつてのゲーム仲間とゲーム攻撃のクリアに挑むのだった。

ゲームセンターでアーケードゲームはしたことがないのですが、喫茶店でインベーダーゲームをやっていた世代です。だからパックマンとかドンキーコングとかも何となく知ってる。これはそんな懐かしいゲームを地球規模で楽しむ映画。出てくるゲームは他にもアルカノイド、センチビード等多数。80年代のアーケードゲームオタクなら知ってるゲームもたくさんあるのではないでしょうか。

今作の凄いところは当時のゲームをドット状態で再現してるところですね。今風にアップデートなんかしないんですよ、当時のドットそのまんまですとも、ええ! そのドットが3D立方体でピクセルとして表現されているのが新しい感覚。おかげでドットゲームと最新鋭のCGを両立させた斬新な映像になりました。ゲームキャラにやられたらピクセル化してバラバラになっちゃうのも面白い。ゲームを知らなくても映像だけでも見て楽しめます。

宇宙人が地球人の送ったメッセージを勘違いして受け取るのもいい発想。進化も文化も地球とは違う知的生命体がいたとしたら、地球人が期待するような受け取り方をしない方があり得るような気がします。笑っちゃう設定だけど、宇宙人が地球人のメッセージを難なく理解できる方がむしろ無理あるように思いませんか。

笑っちゃう設定と言えば、ゲーム少年だったサムの友だちウィルが大人になったらアメリカ大統領!になっててホワイトハウスへもサクサク出入り出来ちゃうトンデモな設定ですが、これはそういうブッ飛んだ世界観の夢物語なんだよと示してくれていると言うことでもありますね。友だちが大統領になっちゃう世界なんだぜ、ゲームオタクが世界を救ったっていいだろ! さあ後はゲームクリア目指して突っ走るだけだっ、いっけええ、サム、ラドロー、エディ、&ウィル!!

<ネタバレ>

今作は道路をステージに見立てて車をゴーストに見立てて、でっかいパックマンと追いかけっこアクションするような、等身大でゲームする面白さがメインではありますが、実はそれだけではなくてサムのトラウマ克服の物語にもなってます。サムはゲーム世界大会のドンキーコングでエディに敗れて優勝できなかった。それが尾を引いて負け組人生みたいになってた。

しかし世界大会の時、実はエディはズルをしていた。大人になってもエディはパックマン戦でズルをしてしまう。そのため勝ったはずのパックマン戦を反則負けにされてしまった。地球がゲームキャラに総攻撃を受ける中、サムはヴォルーラ星人の母船に乗り込んで最後のチャンスをもらう。それが因縁のドンキーコング。だがエディが反則を使ったことを知って自信を取り戻し、ついに苦手だったドンキーコングで勝利する。サムもこれからはもっといい人生を送れるようになりそうかな、今回の件で知り合ったヴァイオレットともいい雰囲気になってたしね。

エディもさすがに最後はズルをやめてまともに戦う仲間に。ラドローが少年時代から一筋だったゲームの主人公と本当に結ばれてしまったのは、夢物語ならそこまでやらないとね、という気もするのでよし。子どもがQバートですが(笑。なおラドローが好きなレディ・ミサは今作用のオリジナルゲームだそうです。

当時のゲームを知っていれば倍楽しめるだろうけど、全然知らなくても問題なく楽しめる作品です。こんなゲームがあったんだ、パックマンの生みの親って日本人だったんだと知識も得られるし。エンディングでドット画面でストーリーを復習してくれるのも嬉しい。時には素直にこんな夢物語を楽しんで心の洗濯をして元気をもらうのもいいものです。