メン・イン・ブラック3(MIB3)

メン・イン・ブラック3 BD

2012年
時間 108分
監督 バリー・ソネンフェルド

凶悪宇宙人ボリスが月の刑務所から脱獄した。ボリスは昔の借りを返すため過去に飛ぶ。そしてKが消えた!? いつの間にかKは40年以上前に死んだことになっており、滅びたはずのボグロダイト星人が地球に侵攻。ボリスが1969年でKを殺したため歴史が書き換わっていたのだ。Kを助けるためJも過去に飛ぶ。そこでJが出会ったのはKとJの秘められた過去だった!?

MIBシリーズ3作目。映画館で3Dで鑑賞。3D映えするシーンが多くて迫力あったです。制作も10年ぶりということで、Jもすっかりベテランエージェントに。Kと相変わらずのいいコンビぶりで仕事してたのですが、何と突然Kが消えてしまう。しかもJ以外誰もKを知らない!? 調べたらKは1969年に殉職したことになっている。エージェントOからタイムトラベル前科のある宇宙人の情報を得て、Jも1969年に飛ぶ。タイムトラベルネタを入れると下手すると「何でもあり」になって作品が崩壊する恐れがありますが、今作は見事なタイムパラドックス処理を行っており、タイムトラベルへの必然性もちゃんと持たせてあります。タイムトラベルネタを入れるならこうやってくれ!のお手本のような作品。感動します。

てことでメイン舞台は1969年7月15~16日の2日間。ここでJは若いKに出会うのですが、若いKも愛想のない性格だったけど、Jが知ってる老年Kよりはまだましだった。Kが無愛想になった理由も今作のミッションにあったんですね。若いKは別の役者さんが演じてますが、Kの雰囲気を保ってくれてます。このコンビもこれはこれでいい。過去なのに未来にもない超アイテムがあったり(笑、その辺はもう開き直ってやってる感じ。一応、「これ調子悪いから(未来では)使用禁止になったんだぞ」なフォローがあったりなかったり。

今作の敵はボリス。他の宇宙人はボリスが過去へ飛ぶ前の中華料理店バトルが主な見せ場。宇宙人だけでなく、宇宙人用の変な食材もいっぱいあります。さすがにあんな魚は食べたくない…。でも深海魚も似たようなものですけどね(^^;。舞台が1969年になってからはボリスも2人になって(若いボリスと未来から来たボリス)、J&若いKのコンビと大アクション。そこへ未来視できる宇宙人グリフィンが絡むのですが、彼もなかなか味のあるキャラです。

<ネタバレ>

過去を変えるとそれに合わせて未来も変わる。今作はそのルールで動くタイムトラベルものとしても成立。ボリスが1969年に戻ってKを殺したため、歴史が改竄され、Kは未来から消えた。今回のJのミッションはKを助けて歴史を元に戻すこと。K殺害日時と場所は分かっているので、Jは1日前の7月15日に飛ぶ。若いKは最初Jの話を信じないが、やがていいコンビに。この辺のやりとりも面白い。

たび重なるボリスの攻撃をかわしてグリフィンから地球を守るアークネットを入手し、7月16日打ち上げのアポロ11号にアークネットを取り付けるのですが、この時Jたちを案内してくれた軍の大佐が実はJの父親だったのですね。この時グリフィンはJに忠告する。1人を助けると代わりに1人が死ぬと。そしてKがアークネットを取り付けたらすぐに未来へ戻れとも。高所3Dバトルをクリアしてミッション達成するJとKですが、"すぐ"に戻り損ねたJはしつこく襲って来たボリスに大佐が殺されるシーンを見てしまう。その後で車から出てきた子どもが自分だと気付き、父の死の真相を知ってしまうことになる。これは父かKかどちらか二者択一の運命だと知った時、Jの胸中はどんなだっただろう。そしてJの父を死なせてしまった思いを抱えながら生きてきたKの胸中を知ることになった時…。

泣きましたー。まさかMIBで泣くとは思わなかった。JのKと父への切なすぎる気持ちを思うとこみ上げてきてしまって、涙腺決壊~。だからKはJをスカウトしたのか。Kの無愛そうな表情の裏にはこんな秘密があったのか…。パラドックスの回収のお手並みも見事で、タイムネタを扱うならこれぐらいきれいに決めてくれ!と思いましたね。

JだけKの記憶があったのは?

Kが消えたなら他の人たちのKの記憶も消える。同じ時間軸のルールに従った設定ですが、何故Jだけ覚えていたのか? それは「Jがその場にいたから」というのは上手い説明だなと思いました。それにJが未来から来ないと歴史の修正が行われないので、これは歴史の修正作用が反映されたものとも考えられます。

KがいなくてもJはMIBになれたの?

これは上と同じ理由で、JがいないとKを助けられないので、Kがいない場合は別の誰かがスカウトして、多少経過は違っても最終的にはJはMIBになる運命なのだと思います。歴史は簡単には変えられない──でもそれでいいんじゃないかなと思うのです。

何だかんだ言っても今作のポイントは歴史改変ではなく、JとKの間にあった秘められた過去。だからタイムトラベルを入れてきても、やっぱりこれはMIBなのですよね。MIBのいつものアクションを楽しみつつ、素敵なお話まで楽しませてもらえて、より一層このシリーズが好きになるのでした。