クラウド アトラス

2012年
時間 172分
監督 ラナ・ウォシャウスキー
アンディ・ウォシャウスキー
トム・ティクヴァ

1人の老人が語り始める6つの物語。過去・現在・未来が入り交じりながら時空を越えて紡がれる物語の集約する先とは──。様々な人々の生き方を通して壮大なスケールで描かれる運命の連鎖。

とても見たかったのに私の地方では映画館でやってくれなくて、BDが出るのを待ってレンタルでやっと鑑賞できた作品。期待通りのすごいスケールの作品でした。6つの物語が時代を超えて同時進行しながら展開していく構成で、複雑ながらも見事に話が連携して盛り上がっていきます。まずはネタバレしない範囲で6つの物語を紹介。

1849年 アダム・ユーイングの物語

アメリカの弁護士。胸に彗星の痣がある。南洋で奴隷貿易の契約を行い船で帰途につくが、それは波瀾万丈の旅となった。

1936年 ロバート・フロビシャーの物語

作曲家を目指すイギリスの青年。お尻に彗星の痣がある。有名な作曲家の採譜係に採用されるが…。恋人のルーファス・シックススミスに手紙で近状を知らせる。ユーイングの航海日誌を愛読。

1973年 ルイサ・レイの物語

アメリカの女性ジャーナリスト。左胸の上辺りに彗星の痣がある。歳とったシックススミスと遭遇し、彼が抱えていた巨大企業の陰謀に巻き込まれ、思わぬ冒険をすることに。

2012年 ティモシー・カベンディッシュの物語

イギリスの本の編集者。足に彗星の痣がある。思わぬ出来事から手がけた本がヒットするも、そのおかげでとんでもない目に合うことに。後に自分の体験を小説にする。

2144年 ソンミの物語

ネオソウルで給仕係として働く複製種の少女。首に彗星の痣がある。昔の映画「カベンディッシュの大冒険」を見たことから運命が変わる。

世界崩壊後106年 ザックリーの物語

文明が崩壊した後の世界で生きる男。後頭部に彗星の痣がある。ソンミを女神として信仰している。今作の語り手でもあり、これまでの5つの物語を夢に見たことから新たな運命が開く。

19世紀の帆船時代の話と親近感のある現代周辺の話とSF感たっぷりな未来の話がランダムに入り交じるのは面白い試みですね。話のつながり具合もよく出来てる。172分と長いですが、長さを感じさせずに楽しませてくれました。

<ネタバレ>

どの物語にもちゃんと起承転結があり、何か出来事に遭遇しそこから困難を乗り越え、新しい道と自分を切り開いていく…というところは共通。

ユーイングは船に密航した奴隷を助け、その奴隷に命を救われて、帰りを待っていた妻と共に奴隷解放の道へと進む。
フロビシャーは自分を縛ろうとする作曲家から逃れ、自分の作曲による「クラウド・アトラス6重奏」を完成させる。
ルイサ・レイはシックススミスが遺した報告書で石油会社の利権問題を告発。
カベンディッシュは自由を奪う老人ホームから仲間と脱出に成功、自分を取り戻す。
ソンミは革命家チャンと出会い、反乱を起こして自由のない複製種の悲惨な現実を世界に公開、後世で神格化される。
ザックリーは自分の中の悪魔から自身を解放、仲間を見捨てた人間から仲間を助ける人間に。

これらの物語に共通するキーワードは「自由」ですね。自分を縛る垣根は幻想に過ぎない、乗り越えようと思う者には乗り越えられるのだ、と。それはどの年代でもどんな環境でも同じなのだと思わせてくれる。それが繰り返す魂の連鎖、クラウド・アトラスと言うことかなと。

ラストで冒頭のザックリーに戻りますが、SOSを発した後、地球外の惑星に移住したのが分かります。ザックリーもメロニムといい人生を送れた模様。なお、彗星の痣は各物語の主人公を示すものであって、生まれ変わりではないと思います(ルイサの生まれ変わりがカベンディッシュでは計算が合わないと思うので)。今作では複数の役を演じてる人も多いので、エンドロールの種明かしで「えっあの人がこの役を!」と驚いてみるのも一興。

初めて見た時はSF好き故にソンミの物語に一番ひかれたけど、年齢を重ねて見直してみると別の物語にも今まで気付かなかった面白さを発見できたりして、見る度に新しい楽しみ方が出来るところも好きな作品です。

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