LIFE!

2013年
時間 115分
監督 ベン・スティラー

地味で何の変哲もない生活を送っているウォルターは空想だけが唯一の楽しみ。ところが勤め先の雑誌「LIFE」がWEBに移行して廃刊されることになり、写真管理をしていたウォルターが受け取ったはずの最終号表紙用のネガが見当たらない事態に。ウォルターはネガを見つけるために写真を送ったカメラマンの行方を追って世界中を飛び回ることになる。平凡でも社会を支える人たちに送る今を生きることへの賛歌を描いた作品。

地味で臆病で不器用で片思いの彼女に話しかける勇気もなく、空想の世界で自分を慰めるしかないウォルターに共感を覚える人も少なくないと思う。これはまさにそんな人々にエールを送る作品でもあると思います。ウォルターが勤める雑誌「LIFE」のモットーは「世界を見よう 危険でも立ち向かおう 壁の裏をのぞこう もっと近づこう お互いを知ろう そして感じよう それが人生の目的だから」──そのまんま今作のテーマですね。

序盤で繰り広げられるウォルターの空想が奇想天外&ダイナミックで凄いのも今作の見どころ。空想の世界ではウォルターはヒーロー、彼女は自分に夢中だし、嫌な上司は大立ち回り大アクションでやっつける。空想シーンだけでも見る価値あると思えるくらい力入ってますね(笑。過去作がネタにされることもあり、「ベンジャミン・バトン」辺りも知ってるとニヤリとできます。

でも空想から覚めたら現実は厳しい。「LIFE」誌は事業再編され廃刊が決定、大幅な人員整理が行われるようで自分もクビになるかも知れない。そんな中で受け取ったはずの「LIFE」最終号表紙用の写真が見当たらないのでさあ大変! 今でも銀塩に拘る写真家ショーン・オコンネルが表紙用にと指示した25番のネガフィルムだけが欠落している。25番はいったい何処に!? ショーンのメモによれば最高の写真だそうだが、それは一体どんな写真なのか。

かくしてウォルターは25番を探す旅に出ることになる。このことがきっかけでついに片思いの彼女シェリルと話す機会を得るウォルター。25番前後の写真から手がかりを得て、シェリルから「未知の世界へ行く勇気」をもらって、ついに地の果てへと旅立つウォルター。その旅でウォルターは何を見出すのか、何を得るのか、その先にあるものに私も元気づけられました。

<ネタバレ>

ショーンは冒険家でもあり、世界中を飛び回っていて所在は常に不明。取りあえず得られた情報からグリーンランドへ。不安な時は自らの空想で勇気を奮い立たせ、ヘリから海中に飛び込み、サメから逃げ、船でアイスランドの火山へと大移動。空想も凄かったけど、現実のスケール感たっぷりの広大な旅路もいい。風景がとてもきれいで、ここも見どころです。しかしついにヒマラヤでショーンをつかまえたものの、25番はショーンの遊び心でプレゼントの財布に忍ばせてあったことが判明。ではその財布は…?

ショーンはいいやつですね、ウォルターが財布を捨ててしまっていてもサッカーに誘ってくれた。大事なのは最高の瞬間を知ることなのだから。ウォルターはここまでの旅で自分の中の可能性を再発見することが出来た。ヒマラヤから戻る時、空港で引っかかって、時々電話してきた出会いサイトのトッドと会うことになったエピソードが楽しい。トッドはウォルターのプロフィールが空欄の時から気にかけてくれていて、冒険の進行と同時にプロフィール欄を埋めてくれていた。そしてウォルターはもう空想をしなくても過ごせている自分に気付くのだった。

自分を再発見できたウォルターにとって財布を母が回収してくれていたことはおまけみたいなものだったかも。でも25番が何を映していたかはとても大事なことだった。最終号が出てウォルターが見た表紙にいたのはウォルター自身だった。それは地道に雑誌を支えた人たちへのショーンからのエールであり、これまでの自分も地味な生活も素晴らしいものだった(まさしく最高の瞬間=LIFE!)と教えてくれるものでもあったから。

見終わって温かい気持ちになって元気と勇気をもらえる作品。ウォルター、シェリルと上手く行くようになってよかったね。それがウォルターだったんだよ。

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