ナルニア国物語~第3章:アスラン王と魔法の島

2010年
時間 112分
監督 マイケル・アプテッド

ルーシーとエドマンドは従兄弟のユースチスの家で過ごしていた。3人が部屋にいる時、壁の絵から海が流れだし、3人は絵の中の帆船に助けられる。それはカスピアン王子の船「朝びらき丸」で、カスピアンは行方不明になった7卿を探しに行くところだった。3人は王子と同行し、島々を巡る冒険で東の海に闇の力が集まっていることを知る。闇を倒すには7卿の持つ7本の剣を"アスランのテーブル"に置かなくてはならない。カスピアンと3人は東の海を目指すのだが…。

ナルニア国物語「朝びらき丸 東の海へ」の映画化ですが、原作を編集&再構成してスペクタクルアドベンチャーに仕立て上げてます。原作は島々を巡って様々な冒険をしながら東の果てを目指すという物語になってますが、映画では闇の力を討伐するという目的を作り、島々の冒険がその目的に集約していくという構成になってます。原作をそのままなぞると短編の羅列みたいになってしまうので、2時間映画の枠の中で1本の物語として起承転結をつけるための判断だったと思います。

今作の主役はルーシーとエドマンド、そして2人の従兄弟ユースチス。ルーシーたちはケンブリッジのユースチスの家に預けられていて、ピーターとスーザンは父と一緒にアメリカにいる様子。2人とも冒険には出て来ませんが、回想・幻想シーンでチラッと顔を見せてくれます。新顔のユースチスは居候してるルーシーたちが好きじゃなくて、物語のいいかき回し役に。

海が舞台の海洋冒険ものになってて帆船も主役の1つというのは帆船好きには嬉しい。CG大活躍のおかげで子ども向けの文章が映像になると大スペクタルに化けるのは今作で更に強まった感あり。ドラゴン、巨大海獣も登場してスケールもアップ。7本の剣を探すのは映画オリジナルの設定ですが、冒険ファンタジーぽくていいじゃないですか。それにキャラたちの思いも絡み、今までは揺るぎなかったルーシーも今作では試される。ひねくれてたユースチスがどうなるかも見どころです。

<ネタバレ>

闇の力はルーシーたちを試す。闇は人の心の弱い部分に攻撃を仕掛ける。ルーシーはカスピアンが姉スーザンを好きだったことを知っている。前作より少し大きくなったルーシーには姉の美しさに憧れる気持ちが生まれていて、コリアキンの館で魔法の本の誘惑に負けてしまう。だが鏡の中に表れたアスランに諭され、自分を捨てかけたことを反省する。エドマンドは白い魔女の幻覚に悩まされる。だが魔女の誘惑を振り切って、自分が生み出してしまった巨大ウミヘビをみごとに倒す。

ユースチスは傑作でした(笑。ナルニアなんて信じてないのに巻き添えみたいに連れてこられて不満いっぱい。皆の悪口だらけの日記を書いてましたが、ドラゴンの島で金の宝物を見つけて夢中で拾い集めたところ、なんとドラゴンになっちゃった! これまで反発していたネズミの戦士リーピチープに慰められ、だんだんリーピチープといい友だちになっていきます。あんなに意地悪っ子ぽかったのに、ドラゴンになってからは風の凪いだ朝びらき丸を引っ張ったり、巨大ウミヘビに果敢に立ち向かったり、感動の活躍ぶり。7本目の剣が体にささって白砂の浜に落ちたところでアスランに人間に戻され、"アスランのテーブル"へ送られる。そう、7本目の剣をテーブルに置いたのはユースチスです。大変な経験をしたけど、とても大きな活躍もした。この冒険で一番成長と変化を見せたキャラでしょうね。

闇を追い払い、さらわれた人たちを救い出したカスピアンと3人は世界の果てにあるアスランの島に辿り着く。リーピチープは果ての向こうのアスランの国に行くことを選ぶが、カスピアンは果てのこちら側で王としてこれからもナルニアを守ることをあらためて決意。そしてルーシーとエドマンドにはついにナルニアを卒業する時が。ルーシーはこの冒険でスーザンになるのではなく自分になることが大事だと気付く。原作のエピソードを上手い具合に「自分と戦い自分を見出す(大人への成長)」という形に落とし込んだなと思いました。

これでペベンシー家の4兄妹の物語はひとまず終了。この後の冒険はユースチスが引き継ぐことになりますが、それはまた別の物語。