パシフィック・リム

パシフィック・リム BD

2013年
時間 130分
監督 ギレルモ・デル・トロ

太平洋深海に生じた次元の裂け目から怪獣が表れ、世界は危機に。対して人類は人型巨大兵器イェーガーを開発し、怪獣と戦う。だが年々パワーアップする怪獣たちの前にイェーガー部隊も追い詰められついに残りは3体に。環太平洋防衛軍のペントコスト司令官は旧世代イェーガーのジプシー・デンジャーを復活させ、元パイロットのローリーを呼び寄せる。ローリーはマコと組み、ジプシー・デンジャーで怪獣たちを倒す最後のチャンスにかける──。

これは凄い。怪獣映画やマジンガーZなどのスーパーロボットで育った特撮世代には「いつかハリウッドの最新技術で怪獣とスーパーロボットを見てみたい」という夢が叶った映画でした。映画館の大スクリーンで繰り広げられる怪獣と巨大ロボットのガチバトル! 怪獣を「KAIJU」と日本語そのまんまの呼び方にしてくれてるのも嬉しい。まさかこんな作品を見られる日が来るとは…!と本気で思いましたよ、ええ。

怪獣が海からやってくる、というのも作り手が分かってくれてて嬉しい。そうです、怪獣は海からやってくるのです! それがお約束ですから! 巨大ロボ(イェーガー)もゴツイ迫力で見せてくれて、いちいち溜めてガシャン!ガシャン!と動きを決めるのがたまらない。そして忘れちゃいけない、必殺技!

ロケットパーンチ!
チェーン・ソードォォー!

ロケットパンチ(原語&字幕ではエルボー・ロケット)だけでなくソードまで出してくれるって痺れ過ぎじゃないですかあ! これよ! これを見たかったのよ! ここぞというシーンで主題歌っぽい音楽が流れてくれるのも個人的にツボでした。そうよ、主人公は主題歌を背負って戦うものなのよ~!

今作のイェーガーは2人乗りでパイロット2人がドラフト(精神同調)して動かすという設定なのですが、実はここがミソで、2人が同調できないといけないところに人間ドラマが生まれる。主人公のローリーも、ペアを組むマコも、最初はローリーと反目するチャックも、ペントコスト司令官も、皆が怪獣だけでなく自分の心とも戦っている。それがロケットパーンチ!な怪獣バトルと人間ドラマを融合させ、少年の心を持つ大人のための作品になっている。コミカルだけど熱い博士コンビや闇商人のハンニバルなど、脇役も魅力的です。

<ネタバレ>

怪獣たちは異次元生命体が異世界から送り込んだものだった。博士コンビの1人、ニュートが怪獣の脳とドラフトを試みたことで判明。彼らは怪獣を使って地球を征服しようとしていたのだ。ニュートと反目していた博士コンビのもう1人ハーマンもニュートと協力して敵の情報を得る。香港を襲った怪獣たちとのバトルでイェーガー2体を失い、残ったストライカー・エウレカもパイロットのハーク・ハンセンが負傷し、ついにペントコスト司令官自らパイロットに復帰し次元の裂け目を防ぐ作戦に出撃することに。

ここでハンセン親子が出撃前に話し合うシーンがあるのですが、この時点でチャックは既に死の覚悟を決めてますね。ドラフトするとペアの相手と記憶を共有するので、父ハークの覚悟がチャックには伝わっている。ジプシー・デンジャーとの共闘でローリーと反目していたチャックも父の心を理解できるようになったのか。

ローリーとマコもジプシー・デンジャーでの戦いを通して心のトラウマを乗り越える。ローリーとマコの思い、ローリーの兄への思い、ペントコストのマコへの思い、マコのペントコストへの思い、ハンセン親子の思い、博士コンビの思い、後陣を守るテンドーたち、迷いを乗り越えて皆の心が1つになって敵に立ち向かうのは熱いです!

ラストの作戦成功はお約束だからそれでOK。そこへ至るまでの描写こそ今作の見どころであり、そこに「怪獣・巨大ロボット世代の見たかった夢」が詰まっているのです。

エンドロールにおまけ有り。怪獣の子どもに飲まれたはずのハンニバルが…!?