キングコング: 髑髏島の巨神
年 | 2017年 |
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時間 | 118分 |
監督 | ジョーダン・ヴォート=ロバーツ |
衛星観測で南太平洋に未知の孤島が発見された。ベトナム戦争が終わった時、アメリカの未確認巨大生物研究機関モナークは調査隊をその島に派遣する。しかし、嵐に包まれた島にヘリで上陸した調査隊を待っていたのは謎の巨大生物だった。ヘリを落とされ、バラバラになる調査隊。巨大生物に怒りを燃やす大佐、一方で別のグループは30年前からこの島で暮らしていたと言う男に出会う。彼らがそこで見たものは──?
映画館で鑑賞。タイトルの通り、キングコングの映画です。もう最初っから惜しみなくキングコングが出てきてくれて大満足。冒頭の1944年シーンで早くも顔出ししてくれますしね、舞台が1973年に移ってからも、髑髏島に着いた初っ端から全身見せで大活躍。この髑髏島は周囲が嵐に覆われてて前人未踏ゆえ、生物たちが独自の進化を遂げたという設定で、キングコングの他にも巨大生物がいっぱい出てきます。
バラバラになった調査隊が仲間の1人を見つけたと思ったら竹に串刺し…? いや違う上を見ろ巨大な…クモンガ!? あっでもハサミあるしカニ!?と思ったけど、パンフレット見るとクモがモデルらしい。やっぱりクモンガじゃないですかー(喜んでる)。ちなみに作中での名前はバンブー・スパイダー。他にもでかい四つ足のやつとか、イカのバケモノとか、巨大ナナフシとか、翼竜みたいなやつらとか、それらに遭遇する度に驚愕する人々とか、子ども時代を怪獣映画で過ごした人間には嬉しくなるシーンの数々!
更にそれらを上回る巨大ラスボスが出てきて、キングコングと死闘を繰り広げる! 人間の中にも素直に逃げればいいのにわざわざ事態悪化させる御仁もいたりで、もう怪獣映画の魅力が詰まりまくった映画です。
<余談>
地上波でやってたので見てみたら、映画館で見た時には気にならなかったけど、エンドゲーム後だと登場人物の皆さんがアベンジャーズに見えて困った…(^^;。私が気付いたのは、
パッカード大佐=ニック・フューリー
ジェームズ・コンラッド=ロキ
メイソン・ウィーバー=キャプテン・マーベル
あと、他のブログを見て気付いたのが(よく分かりましたね、私は分からなかったわ…)、
マーロウ中尉=ローマン・デイ(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーでクイルの顔なじみのノバ軍人)
アベンジャーズ同窓会ですか、これはー(笑。
<ネタバレ>
髑髏島到着早々ヘリを壊滅させられキングコングを敵認識して怒るパッカード大佐ですが、実はキングコングは島の守り神だった。ヘリが調査のために爆弾投下したので、それに怒っただけだった。コンラッドたちは第二次大戦生き残りのマーロウ中佐と島の住民らに出会い、キングコングが凶悪怪獣スカル・クローラーから島を守っていることを知る。パッカード大佐とコンラッドたちは再会しますが、怒りに燃えるパッカード大佐はキングコングを敵としか見なさず、攻撃しようとする。
今作のよく出来たところは、「事態悪化させる御仁」が単なるかき回し要員ではなくて、背景に重くて深い理由付けがなされていることですね。大佐はベトナム戦争で多くの部下を失い、その傷がまだ癒えていない。戦争は終わりましたと言われても大佐の中ではまだ戦争は終わっていない。今回の任務で更に部下を死なせたことで大佐の中では歯止めが効かなくなる。彼がキングコングに見た"敵"はベトナムも世界大戦も全てを含む戦争そのものであったろう。彼は終わらない戦争を克服できなくて散ったのだ。
一方で、敵だった日本兵と"兄弟"になることで自分の中の戦争を終わらせたマーロウ中尉。彼は30年を髑髏島で生き延び、無事家族の元へ帰還できた。パッカード大佐とマーロウ中尉の対比を通して戦争の虚しさと無意味さを描くこともやってくれている。
ワクワク楽しめる怪獣映画でありながら、しっかりした物語も内包しているいい作品です。なお、モナークの存在だけでもGODZILLAとのつながりは分かりますが、エンドロールに出てくる壁画でモンスターバースへの期待も高まります。