ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル

ミッション:インポッシブル / ゴースト・プロトコル BD

2011年
時間 132分
監督 ブラッド・バード

核ミサイルの発射コードが盗まれた。盗んだ者は"コバルト"なる人物に発射コードを売りつけるつもりらしい。コバルトの正体を知るためイーサンに指令が下る。イーサンはIMFの仲間とクレムリンで任務に当たるが、爆破事件の犯人に疑われロシアの捜査官にも追われることになる。IMFはゴースト・プロトコルが発動され、イーサンと3人の仲間だけでコバルトの企みを阻止しなければならなくなるのだった。

M:Iシリーズ4作目。スパイものとして王道、アクションも更にパワーアップして盛り沢山、傑作です。これまでの3作は途中で指令無視路線に入ったり、IMF内部に裏切り犯パターンが多かったですが、今回はそういうのはなし。最初から最後まで任務を全うする正統派スパイ路線。だから見ていて気持ちがいい。舞台もブダペスト、クレムリン、ドバイ、インドのムンバイと世界を巡ってくれます。

ミッションメンバーは前作で登場したベンジーが現場に昇格、新顔としてジェーンが加わり、まずはイーサン含めてその3人でクレムリンのミッションに当たる。クレムリン爆破事件の後、分析官のブラントが加わり、計4人でコバルトの企み阻止に当たります。前作で登場した奥さんは別れたことになってるそうですが…?

ゴースト・プロトコルとはIMFの解体。クレムリン爆破犯がIMFと疑われたことでロシアとアメリカに緊張が走ることになり、アメリカ政府はIMFを解体し政府は一切関知しないとの立場を取ることで危機回避する。イーサンはIMFからのサポートを受けられない状態で長官が最後に下した"指令"を全うしなければいけない。動けるのは4人だけ、イーサンがリーダーとなってメンバーを率いて世界を核戦争の危機から守る。

今作最大の見せ場はやっぱりドバイの超高層ビルでのアクションですね。あんな高いところを登っていくなんて~落ちかけたりもするし怖すぎ。しかもセットじゃなくて本物のブルジュ・ハリアでトム・クルーズ本人がアクションしてるのだから凄すぎる。もう迫力なんてレベルじゃないです。砂嵐の中のカーアクション、立体駐車場でのバトルアクションも見どころ。なお、定番の高い所から急降下して底スレスレ&例のポーズは今回ブラントが担当。さすがに4回目なので少し変化をつけてみたようです。

スパイならではの作戦も工夫が凝らされて面白い。IT技、ドバイのダブル交渉、ムンバイの作戦、冒頭でイーサンが助けた受刑者やロシアの捜査官も、出て来る人全員がきちんと物語に絡んで1つも無駄がない構成も見事です。

<ネタバレ>

コバルトの正体は核戦争信奉者の元物理学教授ヘンドリクス。世界に核戦争を起こすことで秩序がもたらされると狂信している。イーサンがクレムリンに侵入した時、ヘンドリクスも核起動装置を盗みに来ていて、イーサンチームとヘンドリクスチームの回線が混線し、ヘンドリクスが出したクレムリン爆破指示をイーサンが出したものだと間違われてしまう。これでロシア捜査官シディロフがイーサンを爆破犯だと思って追いかけ回すことになるのですが、これがラストできっちり回収されるところはさすが。イーサンが脱獄させたボグダンの役回りも話の裏側でしっかり生きてました。

ゴースト・プロトコル発動以降ブラントがチームに加わりますが、彼もただの分析官ではなかった。実はイーサン夫婦の護衛に関わっていたエージェントで、彼とイーサンの話からイーサンと奥さんは別れたのではなかったこと、奥さんは死んだと思わせて実は極秘に生きていることなどが分かってきます。エージェント業と普通の結婚生活を両立させるのはやっぱり無理でしたか…。なお、冒頭でイーサンが刑務所に入っていたのは奥さんを守るために数人やっつけちゃったからだそうで。

ヘンドリクスは衛星を乗っ取って核ミサイルを発射しようとする。核ミサイル阻止作戦は発射されちゃった核弾頭を着弾寸前で起爆解除するギリギリまでもつれ込み、もう本当皆さんご苦労様状態。シディロフがイーサンを追ってるのを上手く利用して名誉挽回するところはさすが。ロシアに疑い晴れてよかったですね。

ラストでルーサーが登場。今作には出ないのかなと思ってたので嬉しかったです。ブラントももうしっかり仲間ね。奥さんの無事な姿を見せるのも忘れない、細部にわたって隙のない完成度の高い一作でした。