キングスマン

2015年
時間 129分
監督 マシュー・ヴォーン

表向きは高級テーラー、しかしてその実体はどこの国・組織にも属さない独立した諜報組織、それがキングスマン。チンピラだったエグジーは、エグジーの父が命の恩人だというハリーにキングスマン候補に選ばれる。たった1人しかなれないキングスマンを目指して他の候補生と共に厳しい訓練を頑張るエグジー、大富豪ヴァレンタインの企みを探るハリー。キレッキレのスパイアクションが今幕を開ける!

もうともかくかっこよくてキレッキレのアクションに魅了されます。まずはエグジーの義父の仲間がたむろしてる喫茶店のアクションで魂抜かれる(笑。高級スーツをピッシリ着こなした英国紳士が「マナーが」「作るんだ」「人間を」と言いながら扉をロックする所は何回見てもしびれます。そこからダダダッと息をのむアクショーン! 傘、かっこいいよ、傘! 子どもの時「こんなのあったらいいな」と紙に落書きして夢想したような武器が今風な機能を備えて活躍しまくり。

スパイが英国紳士ってところがステキです。本部はロンドンでキングスマンのエージェントは高級スーツがユニフォーム。もちろん防弾スーツで鎧も兼ねており、革靴には毒針が仕込まれ、身に付ける高級アイテムも全て特殊機能付き。レトロで新鮮な趣がたまらない。そんなキングスマンに1人欠員ができた。そこで本部を含む各支部から1人ずつ候補生が選ばれ、エグジーもその1人として合格目指して奮戦するわけです。訓練の様子も面白くて見応えありますが、現役のハリーたちはお仕事を続けているわけで、彼らの敵になるのが…?

今作は敵もすごく魅力的。ヴァレンタインもですが、特にガゼルの刺客としての魅力は抜きん出ている。両足が武器なのですが、これが昔のSFにありがちなサイボーグっぽいものではなくて、バネ式なところが斬新。そうだよ、よく考えてみれば、いや考えるまでもなくこれでいいじゃん、むしろこれが正しいじゃん、それなのに何故今まで誰もこの発想をしなかったの?と衝撃を受けたくらい。私も体の一部を武器にするならこうでなくちゃ…みたいな古い思い込みに支配されていたようです。またガゼルの動きがとてもきれいで、これも魅力に拍車をかけてます。

ただ、殺戮シーンもあるし、紳士スパイ映画という設定ながらも必ずしも上品とは言えない箇所も時々あるので、そこは心して楽しむべし。

<ネタバレ>
富豪ヴァレンタインは環境問題に取り組んでいたが、成果が出ないため考えを変える。選ばれた有力者や金持ちだけ残して人口を減らそう。そのために人間を凶暴化させるアプリを開発して無償配布する。選ばれた者たちが避難したらアプリを起動させて人間どうしで殺し合いをさせる──。その実験にハリーが巻き込まれ、エグジーがハリーの後を継いでヴァレンタインの野望を打ち砕きに行く。チンピラだったエグジーがスタイリッシュな紳士エージェントに成長して敵をなぎ倒すところは爽快。ガゼルとの対決もガゼルに見惚れかっこいい。マーリンもランスロットの座を射止めたロキシーもかっこいい。

ところで今作の基本はスパイアクションですが、階級社会や選民思想への問いかけも入っているように思いました。キングスマンもイギリス発祥なので上流社会の人間が中心。ロンドン本部のアーサーはキングスマンになるには上流の人間が望ましいと思っている。だからヴァレンタインに取り込まれてしまった。ハリーは貴族中心の考えは古いと思っており、だからこそ下層出身のエグジーを押す。エグジーはヴァレンタインの手に堕ちたアーサーを出し抜き、選民思想で固まったやつらを一掃する(つまり階級社会と選民思想に天誅を下したという意味での花火表現と考える)。エグジーをバカにしていたチャーリーが落ち、エグジーと公平に接していたロキシーが残ったのもそういうことですよね。

ハリーは言っていた。学べば誰でも紳士になれる、と。身分や出自は関係ない。

「マナーが人間を作る」

エンドロールでエグジーがハリーの言葉を同じシーンで言うのは痛快で楽しい。いい言葉です。

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