グランド・イリュージョン

グランド・イリュージョン BD

2013年
時間 116分
監督 ルイ・レテリエ

マジシャンのダニエル・アトラス、ヘンリー・リーブス、メンタリストのメリット・マッキン、スリのジャック・ワイルダーはタロットカードに導かれ、4人組のマジックグループ「フォー・ホースメン」を結成する。4人は大がかりなイル―ジョンを大成功に収め一躍注目の的に。だがFBIのディラン・ローズは4人がマジックを利用して盗みを働いたと疑い、彼らを追う。4人組の目的は何か、ディランは彼らを捕まえることが出来るのか!?

豪華なマジックショーと泥棒ものを組み合わせた、まさしくグランド・イリュージョンな作品。当初4人は無名のストリートマジシャンで、それぞれ別々に活動していました。ところが彼らの元に謎のタロットカードが届く。カードで集められた4人は何者かの指示を受けてマジックグループを結成し、マジックを使った銀行強盗を演じて見せます。それが「ラスベガスの舞台から一瞬でパリの銀行へテレポートし現金を盗む」という口上なので、見てる方も半信半疑ですが、本当にパリの銀行からお金がなくなっている!? そしてパリから消えたお金がラスベガスの舞台に降ってくる!?

これはどういうマジックなのかも気になりますが、盗みは本当なのか、本当なら4人組は義賊なのか、それとも他に何か目的があるのか。タロットカードの意味は、"アイ"とは何か、4人組の背後にいるのは?と疑問もいっぱい。

FBIのディランは相手がマジシャンのため尋問してもらちがあかないので、元マジシャンでマジックの種明かしをやってるサディアスに助言を求めるが、サディアスも一筋縄ではいかない人物なので振り回されることしきり。4人組が仕掛けてくるミスディレクションの連続に翻弄されるディランですが、翻弄されているのはディランだけではない…。実はこの物語全体が映画観客に向けた壮大なマジックショーになっているんですよね。この物語に仕掛けられたトリックとは!? そこに本作の本当の答がある。

<ネタバレ>

パリの銀行の件は種を見抜いたサディアスが解説してくれますが、先に盗んでおいて銀行の金庫が開かれるタイミングでショーをやってたんですね。しかし4人組は盗ったお金をばらまくだけで自分たちは一銭も手にしてない。次のショーでもスポンサーの預金を観客にばらまいても自分たちは一銭も手にしない。盗みが目的ではない。1年前、4人組はマジシャン憧れの組織"アイ"から招待を受けた。それが4人に配られたタロットカード。グループを結成した4人は"アイ"から指示されたマジックショーを実行する。つまり4人組が披露したマジックは"アイ"に入るための入門テストみたいなものだったのですね。マジシャンにとって"アイ"のメンバーに選ばれることは犯罪をも辞さないくらい栄誉なことらしい。

"アイ"のメンバーは世界中にいる。その1人が今作の黒幕となって4人にタロットカードを配りマジックショーの指示を出した。黒幕の正体は4人も知らない。全てのショーを無事終えた4人の前に黒幕がその正体を現し、4人は無事合格、念願の"アイ"に招き入れられるのです。

しかし黒幕があの人だったのにはびっくり。ただ、やや唐突な感じもあったのでもう少し上手く伏線張ってもらえたらよかったかな。黒幕の指示したショーのターゲットがパリの銀行と保険会社の預金だったのは、黒幕の亡くなった父のためでもあったのですね。実はサディアスも黒幕の父を死に追い込んだ1人でショーのターゲットだった。3番目の金庫盗みはサディアスに盗みの罪を被せ逮捕させるためだった。そのつもりで最初から仕組んでいたということですか…。

ところで金庫盗みの過程で死んだと思わせたジャック! 普通に生きてましたね(^^;、いやそれでこそマジックかー。ラストでディランはインターポールから派遣された女性捜査官アルマと秘密を分かち合います。これはなかなかいい終わり方でした。

深い作品ではないので、数々のマジックとどんでん返しを素直に楽しむのが吉。4人組のキャラも浅めだったので、実質の主人公はディランですね。