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2018年
時間 102分
監督 アニーシュ・チャガンティ

妻を病気で亡くしたデビッド・キムは娘のマーゴットと2人暮らし。ある日、娘が帰ってこなくなり消息不明になる。警察に捜索願を出し、娘の行方を必死で探すデビッド。マーゴットは家出なのか、事件に巻き込まれたのか、それとも…? 情報を求めてGoogleやSNSを検索し続けたデビッドが辿り着いた真相とは!? 全編パソコンの画面だけで構成された異色作。

「パソコンの画面だけで構成された映画」というのが気になり、見てみた作品。なんと、本当に最初から最後まで全てがパソコン画面だけで展開する映画でした! ビデオの記録映像だけで話を綴る作品なら「クローバーフィールド」や「イントゥ・ザ・ストーム」などがありますが、パソコン画面のみで進行するのは私がこれまで見た映画の中では初めてです。またそれが臨場感あって、今の時代ならではのリアルさを感じさせてくれました。

まずは家族の記録映像を再生するところから始まり、登場人物の紹介を兼ねてデビッド一家の状況説明がなされる。パソコンを操作しているのはデビッド。デビッドのパソコンにはカメラが付いているらしく、パソコン画面にカメラのウインドウが開いて、カメラの前にいる人たちをリアルタイムで状況描写してくれたりもする。娘や警察との会話はメールやリモート映像などで進行し、カーソルの動きでデビッドの心の迷いや心情まで感じ取れるのがすごい。カーソルが役者になれる日が来るとは…!

手法の斬新さに目が行きがちだけど、ミステリーとしてもよく出来ており、それに娘の情報を探し出すうちに浮き上がってくる父の知らなかった娘の姿などが加わり、先が読めそうで読めなくて最後まで目が離せません。全てデビッドが操作するパソコン画面でありながらも、映像の中に伏線も隠れており、ラストでそーだったのか!と納得。ミステリーも感動も味わえる良作です。

<ネタバレ>

ミステリーも面白かったけど、父と娘のドラマもよかった。娘がいなくなって、娘のことを何も知らなかったことに気付くデビッド。そこには病気で亡くなった妻の存在がありました。妻のことを話さなくなったデビットと母の話を聞いてほしかったマーゴット。マーゴットがデビッドに内緒でピアノ教室をやめたのは母を思い出してしまうから。マーゴットが貯金から大金を下ろしたのも、自分と似た境遇のメル友の力になりたいと思ったから。

でもマーゴットの気持ちにデビッドは気付かず、それが序盤でマーゴットの謎の動きとしてミスリードされ、真犯人(正しくは真犯人の親ですが)の誘導もあって家出かと思わされる。それでもデビッドの疑問と粘りが真犯人の罠を打ち破り、救出されたマーゴットとデビッドは妻(母)を亡くしたことで失われた時間を埋め、父と娘の会話を取り戻す。途中、バッドエンドか!?とハラハラしたのもあって、ラストではお父ちゃん頑張ったね、本当によかったねと素直に感動してしまいました。

真犯人の親については中盤の「息子のためなら隠蔽も厭わない母親」であることを示すエピソードが伏線だったか…。家出と思わせようとしたのも、誘拐犯をでっち上げたのも、全ては息子のやらかしたことを隠すためにやったことだった。デビッド親子、ヴィック親子を通して、親子のあり方も改めて見つめ直させてくれました。コミュニケーションは大切だよね。

SNS時代らしい展開もたくさんあって考えさせられたことも多し。ネットの噂やデビッドを疑う誹謗中傷や炎上、どこでも誰かの目(スマホカメラ)がデビッドを捉え、SNSにアップする。社会全体が監視しているかのよう。パソコン画面だけで話を進行させるための都合も入っていたとは思いますが、どれも今の時代、リアルにあり得ることですよね。

余談。今作、映画館やテレビで見るのもいいけど、パソコンで見たら臨場感も倍増しかも。そのうち試してみようかしら…。