ヤング・シャーロック / ピラミッドの謎
年 | 1985年 |
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時間 | 109分 |
監督 | バリー・レヴィンソン |
制作総指揮 | スティーヴン・スピルバーグ他 |
若き日のシャーロック・ホームズの冒険物語。少年ジョン・ワトソンは転校してきたロンドンの寄宿学校で推理好きな少年シャーロック・ホームズと出会う。その頃ロンドンでは妙な事件が頻発していた。学校の元先生ワックスフラッター教授が謎の死を遂げたのをきっかけに、ホームズはワトソンと教授の姪エリザベスの3人で事件の謎解明に乗り出す。手がかりを追ってホームズが見つけた謎のピラミッドと怪しげな秘密組織とは…?
公開時に映画館で鑑賞。何故この映画を見に行ったのか。それはスピルバーグが手がけた作品だったからですね。スピルバーグ作品を求めて「グレムリン」や「グーニーズ」を見ていたのと同じ時期です。シャーロック・ホームズでありながらもスピルバーグらしいアドベンチャー要素も入っていて、幻覚剤が見せる特撮シーンや大仕掛けな舞台装置も今作の売りの1つ。
舞台は1870年のロンドン。レトロなロンドンの街や当時の風俗も楽しみどころ。大人のワトソンが少年時代をふり返る形で語り手を務めるという構成になってます(大人ワトソンは声だけで画面には登場しません)。なお、冒頭でコナン・ドイルの原作に基づく話ではないとの断り書きが入り、エンドロールにもこの想像の物語は作者への敬意を込めて作られたものであるとの一文が入るので、原作にはない架空の物語であることは明確にされてます。
ボブスター氏殺人事件から幕を開けるサスペンスは、毒矢による幻覚スペクタルでアドベンチャー色が加わり、バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクみたいな発明大好きワックスフラッター教授の登場で一気にスピルバーグの世界へ。教授は先生を退官した後も学校の一角に住んでいて、そのため教授と一緒に暮らしているエリザベスは男子校のアイドルみたいな存在。エリザベスを挟んで敵対しているクラスメートと推理合戦をするという学園らしい一幕も。
だがワックスフラッター教授まで毒矢の幻覚に惑わされて"自殺"させられる事件が起きてからは学園を飛び出し本格的な捜査に。今作のホームズは若いので頭もいいけどアクションもやってくれる。ピラミッドと謎の組織辺りから何だかインディ・ジョーンズみたいになっていくけど、謎の落とし所はちゃんとホームズです。
<ネタバレ>
ボブスター氏から始まる一連の毒矢による事件はエジプトの遺跡発掘にまつわる復讐劇だった。かつてワックスフラッターたちはエジプトにホテルを建設しようとして遺跡を発見してしまう。遺跡を暴かれイギリスに恨みを持つエ・タールはレイスと名乗り妹(ドリップ夫人)と共にワックスフラッターが勤めていた学校に潜り込む。彼はラメ・タップ(オシリス神信仰)の信者でもあり、地下にピラミッドを作りラメ・タップの儀式を行っていた。
レイス教授、最初はいい人に見せかけてたけど、だんだん怪しさが出て来てやっぱりでしたね。ラメ・タップ信者のレイスは墓を暴かれた5人の娘のために5人の少女を生け贄に捧げようとしていて、エリザベスが5人目の犠牲者になりかける。ここでワトソンが意外に活躍してくれたのは驚き。ワトソンも十分頭いいじゃん。せっかく助けたエリザベスがホームズを庇ってレイスに撃たれてしまったのは残念でしたが、ドイルの本編には出て来ないキャラだから、引きずるようなことはせず今作の中で決着をつけたのかなと思いました。
剣勝負でレイスになかなか勝てなかったホームズは最後にレイスの頬に傷をつけて勝利する。レイスは氷の割れ目に沈んでしまいましたが、その後は…? 今作にはレストレージ警部も出てきます。最初はホームズを相手にしてなかったけど、自分でも毒矢の幻覚を見てからは捜査に乗り出すようになり、最後はこの結末をちゃっかり自分の手柄にしてました。ホームズとレストレージ警部のエピソード0みたいにもなってるな。
ところでエピソード0と言えば、エンドロールで頬に傷がある男がモリアーティと名乗るシーンが…。えっそうかも!?と空想してみるのもこの手の作品の楽しみ方ですか。レイスがあのまま沈んだままとは思えないものね~。