PLANET OF THE APES / 猿の惑星

2001年
時間 120分
監督 ティム・バートン

宇宙探査を行っていたオベロン号が磁気嵐を発見。探査目的で実験用の猿を乗せたポッドを送り出すが行方不明に。猿のポッドを追ったレオも磁気嵐に飲み込まれ未知の惑星に不時着する。そこは猿が支配する惑星で人間は召使いとしてこき使われていた。猿に捕まったレオは宇宙船と連絡を取ろうとするが…。新しい構想で「猿の惑星」をこれまでとは違うストーリーで構築した作品。

原作ともこれまでの5作品とも違う形で「猿の惑星」を作り直してみた作品。実質リメイクだと思うのですが、創り手によると「リ・イマジネーション(再創造)」なのだそうな。確かに猿が知的生物になってる以外はほぼ別作品なので、他のシリーズを見てなくても問題なく見られる、単体で通じる話にはなっています。ただ一カ所だけ、原作小説を知ってると「ニヤッ」と出来るシーンがあります。

で、今作の設定ですが、リ・イマジネーションと謳うだけあってこれまでとは違って人間も話をします。えっ?そう、話すんですよ、最初から普通に。おかげでレオが喋っても誰も驚かないし、猿とも人間ともコミュニケーションはサクサク進むし、猿と人の立場も知的生物と動物と言うよりは主人と奴隷みたいな関係で、原作や映画1作目とは少し趣が違う。

今作でジーラに相当するのがアリ。チンパンジーメイクなのに凄い美人。アリは猿社会の権力者サンダーの娘で人間擁護派。アリはレオに他の人間とは違うものを感じて興味を抱く。しかしアリに言い寄るセード将軍は人間を蔑んでおりレオを敵視する。アリの家で開かれる貴族のような食事会は豪華で猿文明の栄華ぶりを見せてくれます。そして今作では何故かゴリラが妙にかっこよかったと言う…。アリに仕える元将軍、セード将軍に仕える忠実な隊長、この2人(匹?)の漢ぶりと対決も胸熱で惚れそうでした(笑。

2001年の作だけあって、映像は旧シリーズから格段に上がってます。オベロン号も全体像を見せてくれるし、探査用ポッドも独自の形で面白い。宇宙シーンをちゃんと見せてくれることで広がり感が出たと思う。猿メイクもアップしてるし、セットも立派。旧シリーズに思い入れがあるかどうかで評価が違ってきそうな作品だけど、映像は十分です。

以下は小説・1作目のネタバレも含みますのでご注意下さい。

<ネタバレ>

オベロン号は実験用の猿をたくさん乗せてました。これが後の伏線に。未知の惑星なのに猿も人間も何故か英語を話していてレオとスラーッと会話が出来ちゃうのは、ついにご都合主義のお約束に突入したかと思ったら、違った。英語を話すのにはちゃんと理由がありました。それも1作目とは違う理由が。

猿に捕まって奴隷商人からアリの家に買い取られたレオですが、アリの協力で人間仲間数人と屋敷を逃げだし、沼に沈んだポッドから通信機を回収してオベロン号もこの惑星に来ていることを知る。しかし通信機が示す位置は猿たちの聖地「カリマ」で、そこにあったのは廃墟と化したオベロン号だった。磁気嵐のせいでレオはオベロン号より未来に飛んでしまったのですね。オベロン号では知恵の付いた猿たちが反乱を起こし、そこからこの惑星は猿の惑星となったのだった。猿も人間もオベロン号の子孫なら英語なのは当然ですね。この仕掛けはなるほどと思いました。

ただ今作には設定を変えたことで生じた難もあり。人間が話せるのでは猿と人間の逆転インパクトが薄い。話せるのに何で原始的なの?と疑問もわく。人間の中にヒロイン枠と思われる女性がいるが、彼女が話せることでアリとの差別化が上手く働かず、中途半端にヒロインが2人いる感じになってしまい、レオとの関係もドラマに成りきれてない。構成はよく考えられていたと思うので、主人公陣にもっと魅力が欲しかったところです。

いかにも悪者だったサンダー(猿は猿を殺さないはどうしたのよ)をやっつけて猿と人間が平等になった後、猿の惑星を後にして1人地球へ帰還したレオ。ところが地球も猿の惑星になっていた!?──というラストは、これこそ原作小説を知っていたら「ニヤッ」と出来るシーン。リ・イマジネーションながらもここで原作を持ってきましたかあー。なお主人公が不時着した猿の惑星が地球ではなく別の惑星なのも原作の設定です。猿の惑星が未来の地球だったのは映画1作目オリジナルの設定ですのでお間違えなきように。そういう意味では1作目より今作の方が原作に近いと言えますね。

リンカーン像がセード将軍になっていたのは同名の猿がいたのか、猿の惑星が未来の地球であって欲しい1作目ファンに解釈の余地を与えるためか。実は原作ではこの後さらにひっくり返しがあって地球が猿の惑星になったことにも意味を持たせるのですが、今作ではそれがないので、こういう形で意味っぽいものを付けてみたのかなと思いました。