猿の惑星・征服

猿の惑星・征服 BD

1972年
時間 87分
監督 J・リー・トンプソン

「新・猿の惑星」から20年。ペットだった猿たちは奴隷同然にこき使われるようになっていた。ジーラとコーネリアスの息子はサーカスで密かに成長していたが、話せることがバレて使役猿に紛れて身を隠すことになる。おりしも猿たちの不満は高まっており、今や指導者の出現を待つだけになっていた。ジーラの息子はシーザーの名を得て猿たちのために立ち上がる。

「新・猿の惑星」続編で、猿の惑星シリーズ4作目。今作はジーラとコーネリアスの息子が主人公。アーマンドが育ての親になり、アーマンドのサーカスで成長。話せるのがバレてはまずいので、アーマンドの前でしか話さないよう注意してたのですが…。ところで彼の名前ですが、親(ジーラたち)からの名付けはマイロですが、後に新しい名前をもらってシーザーになります。

犬と猫が滅んだので代わりに猿をペットにしたところ、仕込めば使えることが分かったので次第に猿が召使い化した。しかし人間は相手を動物と見下しているので平気で酷使する。アーマンドのような理解者はいるけど、数は少ない。奴隷と化した猿たちの間で不満が高まる。今作のテーマは人種差別と奴隷解放そのものですね。猿たちの使われ方、売買される様子、猿と言うよりはもう完全に差別と奴隷の比喩です。機が熟しているところへ賢いリーダーが現れればこうなりますよね。

シーザー(マイロ)を主人公にするために猿の進化を急ぎすぎてる感はありますが、そこは自由への解放が主題と割り切って見るべし、かな。あと、猿を人間の代理が出来るまでに仕込んだのは人間だから、結局人間が自分でこうなる運命にしたんじゃん…という気持ちにもさせてくれる。テーマが先行し過ぎてシーザーのキャラがちょっと薄く感じられたのは惜しかった。革命までの段取りがもう少し欲しかったとか、1つの都市の中だけの話で世界観が狭いとかもありましたが、短い尺でサクサク見られるのはよい。

以下は1作目・2作目のネタバレも含みますのでご注意下さい。

<ネタバレ>

サーカスのチラシを配るために都会へ来たアーマンドとマイロですが、猿が虐げられているのを見てついマイロが口走ってしまう。アーマンドは自分が口走ったことにしてマイロを逃がすが、警察に追求され転落死してしまう。唯一の味方アーマンドを失ったマイロの怒りと悲しみは大きかった。使役猿たちに紛れ込んだマイロは名前をシーザーに変え、不満を抱えている猿たちを指導して革命を企てる。

そして20年経っても今なお人間たちに「進化した猿が地球を滅ぼす」と思わせ続けている2作目の呪い恐るべし(笑。このせいで知事みたいな人間ばかりになる。1人だけ理解を示してくれたマクドナルドはいいバランス感覚だったと思います。人間にも猿にも偏りすぎない。理想。マクドナルドの機転とシーザーの死んだふり芝居はいいコンビプレイだったな。

今作では話せる猿はシーザーだけということになってますが、ヒロイン登場の兆しが。シーザーも好感を持っていたと思われるリサがついに言葉を発する。人間を制圧して知事に復讐しようとするシーザーに「やめて…」と。リサいい子だ、リサ。何かラストでリサにいい所を全部持っていかれた気もしますが(^^;、シーザーはリサとマクドナルドの願いを受け容れて復讐の連鎖を終わらせ、地球が猿の惑星になったことを宣言する。

結局シーザーの子どもを待つまでもなく、猿を進化させ話せるようにしてしまったのは人間自身だったわけですが、この後、猿と人間はどうなっていくのか。地球の未来はどうなるのか、ジーラが見た未来なのか、それとも…。その答は5作目に。