最後の猿の惑星

1973年
時間 86分
監督 J・リー・トンプソン

「猿の惑星・征服」の後日譚。猿の反乱がきっかけで世界は荒廃。シーザーは生物が暮らせる場所に猿の町を築き、生き残った人間たちは召使いにする形で共存させていた。核戦争で壊滅した都市にシーザーの両親の記録が残っていることが分かり、シーザーは仲間と3人でそこへ向かう。一方で人間に敵意を持ちシーザーの治政に不満を持つゴリラの将軍が不穏な動きをしていた…。

「猿の惑星・征服」の続編。猿の惑星シリーズ5作目で1作目「猿の惑星」から続いたシリーズは今作で完結します。冒頭からダイジェストで3作目~4作目の流れを説明してくれるので、この1作だけで3作目以降の話をまとめて見られるような作りにもなっています。4作目ラストから今作の猿の町に至るまでの流れもモノローグでサラッと流してますが、どうもあれから核戦争にまで発展して地球が荒廃したらしいですね。シーザーは生き残りの人間たちも猿の町に受け容れたけど、これまでの猿と人間の関係はまだ引きずっており、その状態でのお話スタート。

しかし前作でも思ったけど、このシリーズの猿たちは進化がすごく早いですねぇ。わずか20年で服を着て人間の仕事が手伝えるようになり、その後10数年で(核戦争のゴタゴタに数年、シーザーの子どもの大きさから考えて町を築いてから10年くらいとすると合わせてそれくらい?)全員しゃべれるようになってる。読み書きの方は人間の先生から学習中の猿もいるようですが、既に学識と見識を持つ学者猿もおります。

そして知性のある社会へ発展すると猿にも人間と同じような問題が出て来るようで…。「猿は猿を殺さない」というのはシリーズ共通の猿の不文律らしいですが、社会の進化はそれを崩さずにいられるのか。

今作も短い尺でサクサク進む作風ですが、ラストの終わり方はよかった。突っ込みどころや足りないところがあっても、この終わり方が出来ただけでもう全て良し。と思えます。

以下は1作目・2作目のネタバレも含みますのでご注意下さい。

<ネタバレ>

シーザーはリサと結婚して一子をもうける。今作でもリサはさりげなくいい役。マクドナルドもシーザーたちと一緒に暮らしてました。マクドナルドの提案でシーザーは両親の記録を探しに行くことになる。そりゃ親の記録があれば見たいだろう、生まれてすぐ離れちゃったしなあ。ジーラとコーネリアスの映像を見てシーザーは「地球が消滅する未来」を変えたいと考える。学者猿ヴァージルの時間の説明が人間以上(笑。しかしシーザーの留守中にゴリラのアルドー将軍がシーザーへの反乱を企てるのだった。

廃墟地下の生き残り人間は核戦争の残り火ですかね。攻め込んできた連中を劣勢と見せかけて見事な機転で追い返したシーザーの作戦はさすが。地下人間たちとのバトルは話に色を添えてはくれたが、シーザーと猿たちの本当の試練は内側から生じた争いだろう。自分の欲望のために「猿殺し」をしてしまったアルドーを見てマクドナルドは「人間社会と同じになった」と言う。ここに今作のテーマがある。

息子の死を乗り越え、進化の向こうに待つ未来をシーザーは選ぶ。人間を奴隷から解放し、共に対等に歩む共存の未来を。その先に滅ばない地球の未来があることを願って。600年後のラストでは猿と人間が一緒に学ぶ姿があった。私はこれをジーラたちの過去への介入とシーザーの決意のおかげで別の並行世界が生まれて、1・2作目とは違う未来へ向かう話になった…と解釈しました。

かくして5作目にしてついに2作目の呪い(^^;から解き放たれた猿の惑星シリーズ第一期。さすがにこのシリーズに限ってはタイムパラドックスとか2作目との整合性云々とかは言う気になれません(汗。あんな成り行きで地球消しちゃ駄目よ…呆展開の2作目に続かないと思えるだけでもありがたい。思えばこのシリーズ、2作目以降は休むことなく毎年作られていたのですよね…それも多分低予算で。制作陣の皆様もご苦労様でしたと思わずにはいられない。

それでは新・猿の惑星以降の世界がいい未来になりますようにと私も祈らせていただきます。