王立宇宙軍 オネアミスの翼

1987年
時間 119分
監督 山賀博之

舞台は地球ではなく、とある惑星の王国。シロツグの所属する宇宙軍は落ちこぼれの集まりで、30年の歴史があるにも関わらず衛星の1つも満足に打ち上げられない有様。夢も忘れて怠惰な生活を送っていたシロツグは、宗教のビラを配る少女リイクニに出会ったことで宇宙飛行士に志願する。志願者が出たことで、取り潰しの噂が流れていた宇宙軍も本格的に有人宇宙飛行計画を開始することになるが…。

公開時に映画館で鑑賞。画はすごかったです。特にメカ方面。細部まで拘り抜いたロケット開発の工程、工場の様子、空軍の戦闘機、そして一番の見せ場であるロケット打ち上げシーンの迫力は必見。細かい破片の舞い散る様には震えが来る。打ち上げメンバー皆の「やってやる!」が、そのまま若いスタッフの「やってやる!」につながっているかのような気迫です。

ただ、異世界設定の割にはキャラの顔立ち(*)や生活感が畳っぽくて(表現変だけど分かるよね!?冒頭の祈りはお経に聞こえるし背景も地球じゃないのに何故か四畳半の若者を連想してしまう、みたいな^^;)、自分のイメージする異世界王国と合わなくて世界観をつかむのに難儀した覚えがあります。が、そこは逆に考えれば、既成の先入観を抜け出すチャレンジだったのかもですが。

(*)80年代の作品なので今出てるBDジャケット絵ではキャラクターデザインを担当した貞本氏の絵柄も大分変わっているようです。

難儀と言えば、リイクニもよく分からないキャラだった。シロツグが宇宙飛行士になるきっかけであり、ヒロインの立場なのですが、何を考えてるのかよく分からなくて。それでも、きっかけはリイクニでも、訓練や打ち上げの準備などで色々な経験をして、シロツグは本気で宇宙飛行士を目指す男になっていくのです。シロツグは分かりやすいので、彼についていけば悩むことなく盛り上がれます。

<ネタバレ>

宇宙飛行計画が本格的になるにつれ、シロツグは世間の反応や裏で暗躍する政治絡みの動きを知り、ついには暗殺者に襲われたりして、この計画はきれいなだけの夢ではないことが分かる。国はロケット打ち上げを隣国との闘争に利用しようとしていた。だけどここまでやったんだ、俺たちはやめるわけにはいかないんだ! 周りの思惑を乗り越えて打ち上がったロケットには若い制作者たちのこれからの夢と希望も入っているような気がした。

ところで、リイクニとは何だったのだろう。シロツグはリイクニの家に通っていたが、彼女は頑なな宗教家。それでもシロツグに助けを求めたり、一瞬本音らしきものが垣間見える時もあったけど、結局は宗教>シロツグになってしまう。問題の夜の翌朝も、あの謝り方ではリイクニの心の中にはシロツグなんて存在してないと言ってるみたいなものだ。最後にシロツグを見送るリイクニの笑顔にも埋められない距離感を感じてしまう。

結局シロツグはマナとは心を通わせられたけど、リイクニとはとうとう通じ合えないまま打ち上げ場に向かう。しかし宇宙から地表を見たとき世界観が代わり、リイクニのように手を合わせて祈るシロツグ。宇宙から地球を見て宗教観が変わった宇宙飛行士は多いそうなので、リイクニの宗教設定はそういうことでもあったのかな…と思いました。

話には荒削りなところはあるけど、これをやりたいんだ!というパワーがみなぎっている作品。その熱意がうらやましい作品でもあります。

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