アリータ バトル・エンジェル

アリータ:バトル・エンジェル BD

2019年
時間 122分
監督 ロバート・ロドリゲス

没落戦争から300年後、世界は地上のクズ鉄の町アイアン・シティと空中都市ザレムに分断されていた。アイアン・シティでサイバードクターをしているイドはクズ鉄の山からサイボーグ少女の頭部を拾う。イドに体を治された少女は記憶を失っていたが、凄いバトル能力を見せた。アリータと名付けられた少女は自分の記憶を求めて賞金稼ぎやバトルスポーツ・モーターボーラーに身を投じて行く。

原作は木城ゆきとの「銃夢」ですが、コミックは未読。映画館で見られなくてレンタルでの鑑賞になりましたが、面白かったです。何よりも久しぶりに新鮮味のある映像を見せてもらえたのがよかった。まず独特なセンスのアイアン・シティがいい。凝りまくった世界観はもう芸術の域で、これだけでも見応えがある。アリータは目が異様に大きくてアニメっぽいですが、この世界観には合ってます。

そのアリータが細い体で猛烈にアクションしまくる。どうも運動機能がパンツァークンストという格闘武術を覚えていたようで、でっかい敵でもなぎ倒す、なぎ倒す、もう爽快! この武術を身に付けていると装着してるボディに関わらず技が使えるようです。独自のバトルスポーツ・モーターボーラーもいいですね。ローラーでボールを奪ってゴールに入れるというものですが、スケートボードの動きも取り入れたような感じでアクションが激しくてこれも見応えあり。

地上の人々は上空に浮かぶザレムに憧れていて、アリータが知り合ったヒューゴもザレムに行くのを夢見ていた。イドの元妻チレンもザレムに行くためモーターボーラーのオーナー・ベクターと手を組んでいた。記憶を求めるアリータと彼らの企みが交錯し、宿敵と化したグリュシカとの激しいバトルアクションの見せ場に次ぐ見せ場になっていくのです。

アリータの記憶は戻るのか、彼女は何者なのか、ザレムと関係はあるのか、ヒューゴとの関係はどうなっていくのか? なお、この世界ではサイボーグ化は普通のことのようで、賞金稼ぎも賞金首もモーターボーラー選手もメカ武装が激しくてそれぞれ必殺技!?を繰り出してくれるのも楽しいところ。

<ネタバレ>

イドが少女に与えたアリータという名前はイドの亡くなった娘のものだった。アリータの最初のボディもイドの娘に用意されたものだった。イドはアリータに娘を重ねてつい過保護にしがちで、アリータもイドに感謝しつつも娘の代用に見られることを嫌がっていたけど、やがてイドはアリータのモーターボーラー出場を認め、アリータも最後はイドに「お父さん」と呼びかける。アクションの裏にこういう流れがあることで、バトルだけの作品になってないところがいい。

バトルを続けることでアリータは自分が戦争時に作られたサイボーグ戦士だったこと、ザレムのノヴァと戦っていたことなどを少しずつ思い出す。ノヴァはベクターを通じて今もザレムから下界を監視していた。アリータの存在に気付いたノヴァは下界の者(ベクター、グリュシカ)を使ってアリータを葬ろうとする。今作ではノヴァの差し向けた者たちとのバトルがメインで、アリータが黒幕ノヴァのいるザレムを目指すところで幕。続きはあるのかな?

今作の切ないキャラはヒューゴとチレンでした。アリータと出会いパーツ強盗をやめたヒューゴ。ザバンに襲われるもサイボーグ化で一命を取りとめたのにあんな最後になってしまって残念。甘くはしない、ということなのかも知れないけど、ここはご都合主義でもいいから助かってほしかったな…。チレンは悪役っぽい立ち位置でしたが、母親の心に戻った時の気持ちは分かる気がした。娘を愛してたんだよねえ。

人間の脳が300年も老化せずに生きられるのか?その間の酸素や栄養は?とか疑問もありますが、ノヴァも300年前からいるみたいだし(長寿技術のある世界?)、そこはアリータのバトルアクションの素晴らしさに免じて気にしないことにします(^^;。