アンドロメダ...

アンドロメダ... BD

1971年
時間 131分
監督 ロバート・ワイズ

衛星が落下したニューメキシコの小さな町ピードモントで町民のほとんどが死亡する謎の事件が起きた。生き残ったのは赤ん坊と老人の2人だけ。政府は専門家を招集してネバダ州の地下に建造された極秘施設で原因究明を行う。回収した衛星と2人の生存者を調べる研究者たち。衛星がもたらしたものは何か、赤ん坊と老人だけが助かった理由は…? 「アンドロメダ」と名付けられた未知の病原体が地球に危機をもたらす──。

子どもの時、親に連れられて映画館で鑑賞。その後はテレビやビデオで見る機会もなく、ずっと後になってBSで再会したのが2回目の鑑賞だったわけですが、自分でも驚くくらいトーリーもシーンもかなり細かいところまで記憶に残っていました。よっぽど初見時の印象が強烈だったのか…。今ではSFの定番になっている「何かあったら研究者を招集する」のも、この作品が走りだったのかも。

深閑とした小さな町の至るところで人々が倒れている異様さ、そこへ防護服を着た人たちがやってきて調べる…というところから目が釘付けになってました。4人の科学者が集まった極秘施設も当時の私には凄かった。地上はカモフラージュのための農場、地下が研究所。農具置き場に入ったら、床がガコーンと下がっていって秘密の研究所への入口に着く(そういえばキングスマンで似たようなの見たぞっ)。施設は地下5階まであって、下へ行くほど無菌になっていく。建物の構造説明をする部分がまるでCGのような作りになっていて、今見るとその先見性のあるセンスに改めて驚く。

真面目でリアルな作風は淡々としながらも緊迫感があります。ドキュメンタリータッチなので派手なアクションはありませんが、丁寧に順を追って謎を解き明かしていく研究過程は子どもにも理解しやすくて面白かった。人間ドラマは薄いかもしれないけど、施設や研究や実験などのハードな面こそが今作の主役だと思うから、それだけでも十分に楽しめます。

探査衛星が持ち帰った地球外物質が地球人には恐ろしい病原体となった…という設定は今でも十分通用するところもすごい。むしろ今だからこそ一層のリアル感を持って迫ってくる気がする。もしこんな事態が起きたらどうするか…という問いかけは、これから先を生きる人たちにも意味ある問題提起になっていると思います。

<ネタバレ>

アンドロメダ病原体の末路にはご都合主義も伺えるけど、血液のpHが感染の鍵という設定は科学に興味を持っていた子どもには十二分に「凄いっ!」と思えるものでした。大人になっても覚えているくらい自分には感動的だったらしい。感染すると血が凝固してして粉状になるのは今でも新鮮。アンドロメダが結晶体という発想も好き。科学や人間への警鐘もいいけど、正面から謎の解明に取り組んで科学的好奇心を満たしてくれるのもこの作品の醍醐味だと思います。

ところで。狙ってそうなったのかどうかは分かりませんが(偶然?)、ラストの5分間アクションは核への皮肉にもなってる気がする。核のことは忘れていたので、これは2回目以降の鑑賞時に気付いたことですが…。

何かと言うとすぐ核を持ち出そうとするアメリカ。核さえ使えば全て解決すると思う核信仰。今作の極秘施設にも核爆弾による自爆装置が組み込まれていた。もし感染が漏れたら核で防ぐという考え方。でも、核が効かないものだってあるんじゃない? 未知の物質なら核で滅ぶどころか逆に増えることだってあるんじゃない? 未知の地球外物質がどういう性質を持ってるか分からないのに妄信的に核が効くと思い込むのはまずいんじゃ?…と思ってたら、案の定、アンドロメダは核爆発で増えるタイプでした。

それに気付いた研究チームはピードモンドの核攻撃をすんでの所で止める。しかし解剖室で汚染が起こり、施設は核自爆モードに入ってしまう。ここで核爆発が起きたら、アンドロメダは爆発的に増えて世界中に散らばる…! 一番若い研究者の奮戦で自爆はどうにか食い止められるのですが、図らずも人間の妄信的な核信仰が招いた危機を浮き彫りにする形になりました。

結局、アンドロメダはその性質に合った形で一掃される。相手を知らなければ戦い方も決まらない。相手を知ることがまず先決。それが科学ではと思います。

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