ターミネーター4

ターミネーター4 BD

2009年
時間 114分
監督 マックG

2003年、1人の死刑囚がサイバーダイン社の検体に同意した。その後「審判の日」を経て2018年、ジョン・コナーは抵抗軍のリーダーの1人としてスカイネットと戦っていた。その頃少年カイルは謎の男マーカスと出会う。ラジオでジョンの呼びかけを聞いたカイルはマーカスと共にジョンの元へ行こうとするが、スカイネットもカイルを狙っていた。ジョンはカイルと出会えるのか、そして謎の男マーカスの正体と目的とは…?

公開時に映画館で鑑賞。「審判の日」以降のジョン・コナーの物語。思えばこれまで「審判の日」以降の描写はカイルの回想とサラとジョンの悪夢でしか描かれていなかったので、今作で初めて「審判の日」以降がまともに描かれたことになります。

今作のジョンはかっこいいです! これならリーダーになるのも分かる。正直、T3のへたれジョンがこんな男になるとは思えないくらいで、T3すっ飛ばしてT2の少年がそのまま育ったと思った方がイメージ合うくらい。それでもジョンの妻がケイトで、ケイトのお腹にはジョンの子どもがいるという状況はT3の設定を引き継いでいるので、やっぱりT3の続きですね(パンフでもそのように説明)。ジョン、頑張って鍛え直したんだな!と脳内補完(笑。

今までのターミネーターシリーズとはちょっと毛色が違い、これまでのような追いかけっこではなく、人間軍とスカイネット軍団の戦闘が中心のミリタリーアクションという感じ。でもこれはこれで面白いです。ジョンがどうやって一部隊のリーダーから人類全体の指導者になっていくのか、ジョンとカイルはどうやって出会うのか、今まで知りたくても分からなかった部分を描いてくれているからです。

T-800はまだ試作段階で、T-600やT-700辺りがメインの時代。人間軍の対スカイネット作戦に、ジョンがカイルを探す(カイルがジョンを探す)ミッションが交わり、その鍵を握るのが2018年の世界に忽然と現れたマーカス。彼は2003年に検体を承諾して死刑になったのですが、その後マーカスに何が…? なお、試作機のT-800が一瞬姿を現すので、シュワちゃん不足な方はその一瞬にご期待を。他に巨大ロボットとか水中タイプとかバイクと一体化したモトターミネーターとか色々なモデルが出てきて楽しませてくれます。

<ネタバレ>

今作のターミネーターは実はマーカス。舞台が未来なので、未来からターミネーターが来るパターンではなく、逆に過去から未来へ送り込まれたスパイという感じでしょうか。マーカスの体は検体として保管され、2018年にサイボーグとして作り直されてスカイネットのために動かされていた。しかしマーカス本人は自分がマシンであることを知らず、人間だと思っている。事実、脳はマーカスなのだから体が機械でも実質人間ですよね。ここにスカイネットの誤算があった。心が人間なら人間のために動くのは当然だろう。

人とマシンの違いは何か。それは"心"があるかないか。「心ない作戦(捕虜は無視)」よりも「心ある行動(捕虜の救出)」を選んだジョン。それがジョンを皆から信頼される指導者にしていくのでしょう。だからマーカスがマシンだと分かった時も最初は疑ってもマーカスの心を信じてカイルを助けに行くことになる。マーカスもカイルとジョンをおびき寄せるプログラムを組まれていたとしても、最後は自分の意思でジョンたちのために戦う。2度目のチャンスを人間として生きるために。ジョン、マーカス、カイルそれぞれの心の触れあいこそが今作のキモ。

なお、今作の2018年はT-800が過去に送られる前ですが、スカイネットは既にジョンとカイルをマークしています。これはスカイネットも過去(T1~T3)の記録を持っているからでしょう。ジョンがT2~T3を経て未来を知ったのと同じように。このことからも今作がT2・T3の延長上にある時間軸なのが分かります。またT-800の工場を破壊するのにT2の設定が生かされているのも嬉しいですね。

ラストでマーカスの"心"を受け取るジョン。従来の追いかけっこパターンではなかったが、人とマシンの対比で「人間」を描くことに力を注いだ本作。これもターミネーターシリーズとして好きな作品です。