ゴースト・イン・ザ・シェル(実写映画)

2017年
時間 107分
監督 ルパート・サンダース

身体の義体(サイボーグ)化が広がり、人と機械の境界が消えゆく近未来。公安9課のミラ・キリアン少佐はサイバー犯罪を追う日々を送っていた。だが時々覚えのない記憶が頭にフラッシュバックする。ハンカ・ロボティックス社を狙うテロリスト「クゼ」を追い詰めた時、彼に自分のフラッシュバックと同じ記憶があることを知る。自分は一体誰なのだ? 少佐は真実を求めて動き出す──。

ハリウッド実写版攻殻機動隊。ミラ・キリアン少佐は船の襲撃で両親を失い自分は脳だけが助かった…と思っている。バトーは最初普通に両目ありで登場しますが、作中の事故でアニメお馴染みの姿になります。

アニメ攻殻機動隊へのオマージュがこれでもかというくらい出てきて冒頭から楽しませてくれます。オマージュは押井版とテレビシリーズの神山版の両方が混じってますね。ビルから後ろ向きにダイブは両方から、芸者ロボットやクゼはテレビシリーズから、水場で光学迷彩バトル、海、終盤の戦車や戦闘機は押井版から、その他にもいっぱい。イノセンスからもあったな。今作ではクゼが人形使いのオマージュも兼ねており、終盤の2人のシーンは人形使いと素子が見合うシーンそのままですね。しかしオマージュはあくまでも表面上のものであって、話の内容は押井版・テレビシリーズどちらとも違うオリジナル展開。

アクションやCGはさすがハリウッド。でも少佐のアクションはもっと派手でもよかったかな。一応サイボーグ設定なんだから、スカヨハが演るならブラック・ウィドウ以上の超アクションを期待しちゃうじゃないですか~。サイバーパンク系では定番と化したかのような中華ふう背景はもう開き直ってくどさ全開で責めてる感じ。街が巨大ホログラムに埋まっております。

ところで、ハリウッド版では少佐役を白人のスカーレット・ヨハンソンがやることに議論もあったようですが、そこは間違いなく攻殻機動隊になってますのでご安心を。今作でも「自分とは何か」をやってますが、押井版よりはずっと分かりやすく、しかもちゃんと答を出すことろまでやってくれています。自分の記憶に疑問を持った少佐が辿り着いた真実とは──そこに作品の答もあります。

<ネタバレ>

今作は一言で言うと「草薙素子の誕生物語」ですね。義体は取り替えのきくものだから、中身がアジア人でも義体は白人でも黒人でも男性でも女性でも何でもいいわけです。スカヨハ起用それ自体が「入れ物で中身は決まるのか」という問いかけにもなってる。スカヨハの姿はあくまでも入れ物。その人が誰かを決めるのは中身です。

やっぱり少佐の記憶は捏造されたものだった。ハンカ・ロボティックス社は社の邪魔になるテクノロジー反対派を拉致して実験台に使っていた。少佐も実験台にされた1人であり、クゼも同様。記憶を取り戻した少佐は自分が草薙素子という名前の日本人だったことを知る。クゼは素子の恋人ヒデオだった。クゼは自分が作ったネットワークに素子を誘う。だが素子はネットの世界に行くのではなく、この世に生きることを選ぶ。自分が何者で何をすべきかが分かったから。

「記憶ではない。何をするかが人を決める」

いい言葉です。思えば人の人生は皆記憶ゼロから始まる。記憶とは自分がこれから作っていくもの。何をするかで自分が形成されていくのだから。この世界の素子はスカヨハタイプの義体を使う。どんな姿であっても素子は素子。素子であることは変わらない。

ビルの屋上に立つ素子。ここからアニメ映画の、テレビシリーズの冒頭につながっていく。これまでの物語はここに到達するためのものだった。「公安9課の草薙素子」は今、始まるのである。

日本語吹き替え版について

洋画は字幕派なのでいつもは字幕版で見ているのですが、今作はアニメの声優が声を担当するというので、吹き替え版も見てみました。確かにアニメ攻殻の雰囲気をそのまま持ってきてくれて、いいですね! ついでにビートたけしも吹き替えてほしかった…聞き取りにくいんだもん。吹き替え版を見た後でアニメを見ると素子の顔がスカヨハに見えます(笑。