エリジウム

2013年
時間 109分
監督 ニール・ブロムカンプ

2154年、一握りの超富裕層は汚染で荒廃した地球から離れてスペースコロニー「エリジウム」に移り住んでいた。そこは地上で暮らす貧民層には手の出ない憧れの世界だった。ロサンゼルスのスラムで生活するマックスは工場の事故で残り5日の命になってしまう。治せるのはエリジウムの医療ポッドしかない。エリジウムへの違法切符を手に入れるために闇商人と取引するマックスだが、彼が盗んだデータにはとんでもない情報が入っていた!?

映画館で鑑賞。いわゆる「格差社会」「富裕層vs貧困層」を扱ったSFですが、今作で問題にしたのは「医療技術の独り占め」かな。荒れた地上とエリジウムの美しさとの対比も印象的ですが、とにもかくにもエリジウムの医療ポッドが凄い。凄すぎる。病気でも怪我でも何でも数十秒で完治させちゃう。頭が半分吹き飛んでもケロッと元通りになる。老化も防ぎ、美容効果もあるらしい。これは欲しい。誰もが欲しい。私も欲しい(笑。

おかげで医療ポッド目当てで違法侵入する人間が絶えなくて、エリジウム防衛省長官デラコートは地上からの侵入者共を何としても排除したいわけです。しかしエリジウムの政権も一枚岩ではないようで、デラコートは穏健派と対立。ならいっそ私が総裁になったるわ!と密かにクーデターを画策。そのことがマックスを思わぬ運命の渦に…?

マックスは致死量の照射線を浴びてフラフラ。そこを補強して動き回れるようにしてくれたのがエクソ・スーツ。パンフによると裏ルートから仕入れた旧型らしいですが、ともかくもこれのおかげでアクション出来るようになってドロイド相手にも大立ち回り。マックスがアーマダイン社のカーライルから盗んだデータを取り返すためにデラコートの部下クルーガーが派遣され宿敵に。マックスの必死さもクルーガーの執念もどっちもガチ。

SFなので面白いガジェットも色々あるのですが、脳にデータを入れて持ち運ぶってのをサラッとやっちゃってるのが面白い。脳がUSBメモリの代わりになってるんですね(^^;。便利なのだろうか??

<ネタバレ>

デラコートはエリジウムを設計したカーライルにシステムの書き換えを依頼します。で、カーライルが脳にデータを入れて持ち運ぶ途中にマックスの襲撃を受ける。金持ちのデータ(銀行口座とか)を盗むつもりで自分の脳にカーライルのデータを移したマックスですが、何か様子がおかしい。マックスが入れたデータはエリジウムのシステムデータだった! これを使えばコロニーのシステムを書き換えて地球の貧困層もエリジウム市民になれる!?

だがそのデータには罠があった。コピーデータを入れた脳からダウンロードしたら、その人物は死ぬようになっていたのだ。システムを書き換えるにはマックスの脳からデータをエリジウムに移さなければいけない。だがそうしたらマックスは死ぬ。一種のセキュリティですかね、カーライル以外の人間には使えないようにするための。

ここでマックスは選択を迫られることになる。医療ポッドへ入って自分だけが生き延びるか、他人のためにシステム書き換えを行って自分は死ぬか。マックスを決心させたのは幼馴染みのフレイと彼女の娘マチルダの存在。マチルダは白血病で余命幾ばくもなかった。マックスはエリジウムのリブートボタンを押し、自分は死を選ぶ。マチルダを生き延びさせるために、そして医療ポッドを必要とする多くの人たちのために。涙が出そうな決断でした…!

子どもの頃、孤児院のシスターから「あなたは特別な存在。いつかきっと重要なことをする。それがあなたの使命」と励まされたマックス。マックスを待っていた現実は、特別にはなれなかった下層のスラムの生活だったが、自分で運命を選ぶことで己の人生に意味を持たせたマックス。これは1人の男が自分の選択と決断によって自己実現を果たす物語でもある。

なお、エリジウムを解放したら地球と同じになってしわまわないか?などと真面目に考え過ぎなくてよろしい。おとぎ話なので野暮な突っ込みは無用。今作の趣旨は「一部の人間が独占していた医療テクノロジーを解放する・人々に医療を行き渡らせる」ことなので、そこに焦点を絞って見ればいいのです。あと、ポッドの不老とかも真に受けちゃ駄目ですよ、魔法のような瞬間完治芸は医療格差を表すためのメタファーであって、「もし不老不死になれる機械があったら」という話ではないですから。

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