ジョーカー
年 | 2019年 |
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時間 | 122分 |
監督 | トッド・フィリップス |
アーサーはゴッサム・シティに住む貧しい道化師。人を笑わせるコメディアンになるのが夢だったが、ピエロの仕事をクビになり、福祉事業の縮小でカウンセリングも受けられなくなる。貧富の差が激しい腐り切ったゴッサムの底辺で辛酸をなめてきた男の辿り着いた道とは…。バットマンの宿敵ジョーカーの誕生物語。
「ジョーカー」見てきました。ダークナイトのジョーカーが怖かったので見るのを躊躇っていたのですが、「見に行こうよ」という話になってしまい、映画館へ足を運んだ次第。どうやってジョーカーが生まれたかという話なのですが、そもそもがゴッサム・シティが駄目過ぎではないか…。あれではジョーカーだって生まれるよな、バットマン生まれるよなと思いました…。
ジョーカー以前に、格差社会、底辺層、貧困、治安の悪さなど、アーサーを取り巻く社会の惨状がこれでもかと描かれるため、そちらの方に気持ちが行ってしまう。出て来る人間も駄目人間ばかりで、優しさを持つ人間がほとんどおらず、感情移入できる人間がいないという異様さ。むしろ笑いの病気を抱えながら母を介護して懸命に生きていたアーサーの方が周りよりも真っ当に見えたくらいで、ジョーカーよりも"人間らしい心のない街"の方に怖さを感じてしまいました。
アーサーは社会が酷かったせいでジョーカーになったのか。いやそうではなくて、アーサーがジョーカーに変化していく様を通して「人の心が疲弊した社会」を描き出していたのではないか。アーサーのしたことが英雄視され、民衆がその感情に扇動されてしまう姿にこそ主題があるような。本当の主役はゴッサムで、ジョーカーは"ゴッサムの人でなさ"を語るための狂言回しでもあったように感じました。
今作を見て感じたのは、こんな街には住みたくない、こんな街にしてはいけないという思い。社会がどうでも人の心を失いたくはない、思いやりを忘れないでいたいと思いました。
<ネタバレ>
少年のブルース・ウェインが出てきます。アーサーの母はウェイン家で働いていたことがあり、アーサーは母の手紙からトーマス・ウェインが自分の父だと思う。しかし違った。なるほど、そういう経緯があったのなら、ジョーカーがバットマンの宿敵になったのも頷ける。ジョーカーに扇動された群衆の1人がウェイン夫妻を殺し、バットマンの少年ブルースのシーンにつながるのですね。ジョーカー誕生に合わせてバットマン誕生にもつなげていたということですか。
私はスーパーマンほどにはバットマンやジョーカーには詳しくありません。ゴッサム・シティだって元々こういうものなのか、今作が特に酷いのか、あるいはもっと酷いのがデフォなのか、それもよく知らないくらいだし。なので今作がジョーカー誕生物語として合っているのか、ジョーカーのキャラとしてどうなのかは分かりませんが、これはこれで1つの作品世界を作り上げていると思うので、先入観がない方が余計なことを考えずに見られるかも。DCコミック知らなくても大丈夫な内容になってますし。