GODZILLA(1998年)

GODZILLA(1998) [東宝Blu-ray名作セレクション]

1998年
時間 138分
監督 ローランド・エメリッヒ

南太平洋で漁船が襲われ、ただ1人の生存者は"ゴジラ"と告げた。ウクライナでミミズの研究をしていたニック・タトプロス博士は急遽呼び出され、状況から核実験で突然変異を起こした生物と推測する。その生物"ゴジラ"はニューヨークに上陸し町を破壊しながら暴走し姿をくらます。魚を餌におびき出して攻撃し倒したと思うも、マンハッタンの地下では恐ろしい事態が進行していた──。

1998年に制作された最初のハリウッドゴジラ。スリムで直立しない恐竜の前傾型姿勢で、猛スピードでビルの間を駆け抜けたり、あくまでも「生物」であり魚を食べたり繁殖したりする姿に「ゴジラじゃない」との声も上がった本作。確かにこれはゴジラじゃない。しかし「ゴジラはこうあるべきフィルター」を取り払って見れば、なかなかよく出来た巨大生物パニック映画だと思います。CGが本格的に使われ、ビル破壊はもちろんのこと、ゴジラの躍動的な動き、ゴジラと人間が同じ画面内で肉迫する迫力、どのシーンも見応えがありそこはさすがハリウッド。

ゴジラっぽくなくても、核実験の被害者でもある巨大化生物が人間の身勝手で○○…という話の流れにはなっています。言葉や台詞では語られてないけど、ラストのゴジラをじっと見つめるニックの表情がそれを物語っていると思いました。むしろ完全に生物にしたことで、その部分については説得力を増していると思います。

<ネタバレ>

生物にしたことで、このゴジラは生殖能力を持ちます。ゴジラがマンハッタンに来たのは巣作りのためという理由にも納得。マジソンスクエアガーデンの地下に大量に産み付けられた卵からわらわらと幼ゴジラが孵るシーンはもはやエイリアン状態。体長3mの幼ゴジラが大量に走り回って襲ってくるのはジュラシックパークのラプトル状態で、どんどん違う映画になってくじゃん~みたいな所はありますが、でもそれはそれでエンターテイメントだし!

若い頃は邪魔に思えた人間ドラマも年齢を重ねてから見ると納得がいく。恋人だったニックと別れてまでリポーターの夢を追ったオードリーだけど上司の下働きしかさせてもらえない。そんな鬱積した思いから功を焦って、再会したニックから極秘情報を盗んでしまう。しかしそれすらも上司に横取りされて自分の現実と過ちに気付き、ニックのために体を張って真実を証明しに行くことになる。だからマジソンスクエアガーデンの放送室からオードリーが真実を報道する姿には胸がスッとする思いがしました。

ゴジラかどうかはともかく、純粋に映画として見たらよく出来た良作。「ゴジラ」に囚われてこの作品の面白さを見逃しているとしたら、それももったいない話だと思います。