プロメテウス

プロメテウス BD

2012年
時間 124分
監督 リドリー・スコット

世界各地の古代遺跡の壁画は人類の創造主を示している──そう感じたエリザベス・ショウ博士らは宇宙船プロメテウス号で壁画が示す惑星へ向かう。そこには人工物と思われるピラミッド状の山があった。中に入り調査を開始するが、調査員の1人に異常が生じ、別行動していた2人にも異変が──? 種の起源を探すエリザベスたちの前に姿を現したものは…。

「エイリアン」の前日譚と聞いて映画館で鑑賞。期待のあまり、ついつい「この形はもしや…!」「それっぽい…いや違う?…いややっぱり…」などとエイリアンにつながるかも?なシーンを探す方に気を取られて、本来の話の筋や本来ドキドキハラハラするべきシーンに気が回らなくなってた気もします(笑。おかげで細かいことは気にせず楽しめてしまったのはいいのか悪いのか…。

私の最大の関心事は1979エイリアンにどうつながるのか、具体的にはお腹が破れて死んでいた宇宙人(スペース・ジョッキー)がどういう理由と経緯でそうなったのか、だったのですが、今作のラストは1979エイリアンにはつながりませんでした。確かに宇宙人は出てきたし、似たような状況も生じたのだけど、あれではスペース・ジョッキーにならないんですよね…。

ところで本作は1979エイリアンの何年前なのだろう? 今作は2094年設定。リプリーのエイリアンは作中では明確になっていませんが、Wikipediaによると2122年だそうです。するとリプリーがエイリアンに出会うのは今作から28年後の計算になります。しかしリプリーが出会ったスペース・ジョッキーは化石化していた。たった28年で化石化する? どうも今作でエリザベスらが会った宇宙人はスペース・ジョッキーとは別人のようですね。舞台になった惑星も違うし。

そういえばパンフレットの解説も「種の起源」「人類はどこから来たか」に終始しており、エイリアンには特に触れてません。これは種の起源に関する1つの仮説に基づいて組み立ててみたSF…ということなのだろうか。ではそれにエイリアンはどう絡むのか?

<ネタバレ>

話はエイリアンとは関係ないところから始まりますが、エイリアンに登場した宇宙人の謎はいくつか明らかに。冒頭の白い宇宙人がスペース・ジョッキーの同族で(スペース・ジョッキーの頭部はヘルメットだった)、彼らは太古の昔に地球で人類を創造したらしい。しかし何故か2000年ほど前に再び地球に向かおうとしていたらしい。その時何かが起こって出発直前の宇宙船内で全滅したもよう。長期睡眠カプセルに入っていた1人を除いて。

ピラミッド状の山の内部が宇宙船(エイリアンに出てきたのと同じ形)で、船内の状況からエリザベスたちはここは宇宙人の母星ではなく生物兵器を開発するための惑星だったと推測。宇宙人たちはその生物兵器に逆にやられてしまったのではないかとも推測。デヴィッドが得た情報も併せて考えると、宇宙人はこのような基地惑星を他にも持っていたと思われ、もしそうなら他の惑星でも同じ時期に似たようなことが起こった可能性はある。2000年前なら化石になる時間はあるので、リプリーが出会ったのはそのうちのどれかだったのではないか? つまりこういう形で1979エイリアンの前日譚にもなっていた──ということだったのですね。

今作をややこしくしているのがアンドロイドのデヴィッド。今回の探索に資金提供したウェイランド社の社長が極秘で搭乗していたのですが、その社長の息子的存在で単独で独自の調査をします。誰か(たぶん社長)と会話して「そうします」みたいな描写があるので、エリザベスたちがエンジニアと呼んでいた宇宙人を探して復活させたのは社長のためだと分かるが、ホロウェイに黒い液体を飲ませたのは社長の指示なのかデヴィッド個人の好奇心なのかは不明。…好奇心なのかな、黒い液体を人間に飲ませたらどうなるか知りたくて試してみたのかな、だとしたら宇宙人よりエイリアンよりデヴィッドの方が怖いんですが…!

デヴィッドがホロウェイにしたことは知らなくても、エリザベスたちは黒い液体が生物兵器だと考え、エンジニアが地球に黒い液体を持ち込もうとするのを阻止します。ただ1人生き残ったエリザベスにデヴィッドは助けを求め、2人は別の宇宙船でエンジニアの母星を目指すことに。エイリアン出て来ないね…?と思ってたら、黒い液体に感染?したホロウェイと交わったエリザベスのお腹に未知の生物が宿って、医療ポッドで自ら摘出した(ここ凄すぎる!)タコみたいな生物に襲われたエンジニアの腹からやっとエイリアン登場~、で幕、でした。黒い液体はエイリアンの元だった?

今作ではまだ明らかになってない謎もたくさんあるので、この続きはコヴェナントで!