2012
年 | 2009年 |
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時間 | 158分 |
監督 | ローランド・エメリッヒ |
2009年、インドで地球のコアの異常加熱が発覚。このままでは大地殻変動が起きるとの予想の元、各国は連携して秘密裏に事態に備える準備を進めていた。そして2012年、ついにその日がやってくる。大富豪ユーリの運転手をしていたジャクソンは政府が隠していた危機に気付き、ユーリたち金持ちが乗ろうとしていた"船"に自分たちの家族も避難させようとする。予想より早い地殻変動、襲い来る大津波、ジャクソンたちは無事に"船"に乗れるのか!?
「マヤの予言」というのが流行った時がありました。マヤの暦が2012年12月21日で終わることから、2012年に人類は滅亡するというものです。この手の予言はマヤ以前からあり、有名なのは「ノストラダムスの大予言」ですね。1999年7の月、空から恐怖の大王が降りてくる──との文言から1999年に人類が滅ぶと解釈したもの。これらの予言は予言の日が来るまでがお楽しみであり、過ぎてしまうと意味がなくなります。つまり賞味期限付きの期間限定イベントですね。
この作品もマヤの予言を元ネタにしているので、2012年が来る前に「後少しで2012年が来るわ、本当にこんなになったらどうしよう!?」とドキワクしながら楽しむのが正しい見方。なので2012年を過ぎてしまったらその楽しみ方が出来なくなるのが難と言えば難であります。でも有無を言わせぬ大迫力のディザスター描写は2012年が過ぎた後でも十分楽しめると思うので、2012年後でも「大規模地殻変動ディザスターパニック」として見る価値はあります。
この大ディザスターアトラクションの案内役は科学者、政治家、金持ち、一般市民、僧などの多様な人々の視点から行われるので、今何が起こっているのか?の全体図が分かりやすいのはいいところ。主人公一家が都合よく危機をくぐり抜けて行くのも、彼らの目を通して地球規模の大災害がどのように広がって行くのかを視聴者に見せるのが目的だろうから、そこは突っ込まずについていってあげるべし。
と言うことで、今作の主役はCGで容赦なく描かれる地球の盛大なぶっ壊れっぷりですね。ある意味清々しいくらいドッカンドッカンやり切って下さっているので、変な言い方だけどストレス解消にもなりそうなくらいの爽快さ!? もうCGだけでも満足できるほどで見応えは十二分。あと、過去災害作品へのオマージュも入ってるように思いました。巨大豪華客船が大波でひっくり返るのはまさにポセイドン・アドベンチャーの再現だし、富豪の愛人の飼い犬が助かるのはタワーリング・インフェルノの猫を思い起こさせる。
<ネタバレ>
地球規模の地殻変動→地球全体を覆う大洪水ということで、現代版ノアの箱船とも言えると思います。元がマヤの予言なので災害シミュレーションと言うよりはノアの箱船を現代でやってみた、の方がしっくり来る気がする。各国政府が協力して水面下で建造していた"箱船"には動物たちも運ばれているし。主人公の子どもの名前がノアなのもやっぱりそれを意識してるのだろうか。
聖書と違うのはこの事態にどう対処するのか誰が生き残るのかは人間自身に委ねられていること。あと2~3年で地球上の全てが壊れるとしたら? 資金と時間の都合で人類全員が乗れる"箱船"の建造は間に合わない。生き残れるのは一部の人だけ。ではその選別は。要人と搭乗券の購入という形で資金提供した金持ちと、それ以外は切り捨て…? そしてこの事態を人々へどう伝えればいいのか。大統領の決断は。この辺はなかなか考えさせられます。
主人公一家は選ばれた人間ではなかった。切り捨てられる側だった。たまたまこの事態を知って、生き残るために必死の努力をする。現代のノアは選ばれるのではなく自力でチャンスをものにする人間として描かれた。これはご都合主義ではなく、選ばれた人々の中へ全力で食い込んだ「選ばれなかった者の物語」と私は見たいです。