ワールド・ウォーZ

ワールド・ウォーZ BD

2013年
時間 116分
監督 マーク・フォースター

人間をゾンビ化させる未知のウイルスが世界中に広がり、家族を守るためにジェリーは国連調査員に復帰し原因究明に向かう。発生源を求めてアメリカから韓国へ、情報を求めてイスラエルへ、しかし向かう所全て大量のゾンビに浸食されていく地球規模の大パンデミック。残る希望をかけてイギリスWHOウイルス研究所へ向かうジェリー。果たして人類をウイルスから救うことは出来るのか!?

ゾンビの人海戦術がすごい! 大量のゾンビがわわわーっと壁にすがりつき登っていくのは圧巻。しかも今作のゾンビは動きが速い。猛烈なスピードでダッシュして飛びかかってきます。足の遅い人は逃げられないぞ! 閉ざされた空間での攻防もありますが(飛行機の中とか建物の中とか)、それ以上に明るい日の光の下に広がる大都市を大量のゾンビが埋め尽くしていく光景を上空から俯瞰構図で映しているのが印象的。舞台も世界を駆け巡るので本当に世界規模なんだっと思わせてくれてスケールが大きいです。

しかし今作の見どころはゾンビだけじゃない。冒頭の家族でゾンビから逃げ回るシーンは定番のゾンビものっぽいですが、その後はウイルス究明のミッション、世界規模でパンデミックが起こったらどうなるかというシミュレーションになっていき、実はそっちの要素の方が大きいと思う。だからゾンビを怖がるというよりは、未知のウイルスへの探求と、科学的にどう対処するのか、対処出来るのかをハラハラドキドキする作品かと思います。

てことで、ゾンビものと言うよりはむしろウイルスのパンデミックを原因としたディザスターパニック映画ですね。ゾンビを鳥インフルとかに置き換えて見るとけっこうリアル。個人的にはひたすら襲うだけのホラー中心のゾンビものより、こういう描き方の方が好き。ホラー様子は薄いので、ホラー苦手な人でも楽しめると思います。

<ネタバレ>

一気に広まりだしたゾンビから何とか逃げたジェリーは家族の安全と引き換えに原因究明へ。が、香港へ着いたとたん事故でウイルス学者が死んでしまう! まだ研究始まる前なのに! これからなのに! いきなり絶望スタート。しかし彼の残した言葉からヒントをたぐり寄せて、専門家じゃないのに頑張る主人公。嘘か本当か、捕虜の話す北のとある国のゾンビ対策が笑えたけど、噛まれなければ大丈夫→歯から感染てことですか。

しかしイスラエル…ゾンビが音に敏感なのを知らなかったのか…早くに壁を築いたはいいが、防ぐだけではなくて敵(ウイルス)の特性も研究もしておくべきだったかも。ゾンビがあの壁を登れるとは想定外だったのかもしれませんが。

他にも噛まれたら10秒で発症するが、直後(10秒経つ前)に患部を切り落とせば助かること、何故かゾンビに避けられて噛まれない人が少数いること、噛む対象がいなくなったら静かになること等、状況データが揃ってきます。そこで立てた大胆な仮説。私にはWHOの施設で行われた仮説の実証シーンが一番の醍醐味でした。病気発症の原因はまだ分からなくても、実証結果から取りあえずこれをやれば防げると分かれば時間稼ぎは出来る。

偽装ワクチンのアイデアは面白かった。ゾンビは致死性の病気を持つ者は避けるという作中設定を利用したものですが、相手がどういう習性を持ち何がそれに効くかを考えることで活路を開くというのがいい。大量ゾンビも見応えあったけど、パンデミックシミュレーションものとしても楽しめたのがよかったです。