アベンジャーズ / エンドゲーム

アベンジャーズ/エンドゲーム MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド]

2019年
時間 181分
監督 アンソニー・ルッソ
ジョー・ルッソ

宇宙を漂流していたトニーは奇跡的に救出されて地球に帰還。しかしネビュラの情報からスティーブたちがサノスを追うも全てはもう手遅れだった。それから5年後、量子世界に飛ばされたままだったアントマンが戻ってくる。スコットの提案を検討したトニーはそこに活路を見出し、別れていたスティーブたちと合流。各地に散っていたアベンジャーズの生き残りたちが招集され、消された仲間を取り戻すための戦いが今、始まる──。

ネタバレを回避するため、公開2日目の4月27日に映画館へ突撃。インフィニティ・ウォーから1年、どんなにこの日が来るのが待ち遠しかったことかー。10年間の集大成だけあって、見る側の思いの丈も積み重なって「面白かった」「感動した」などの一言ではとても語れない…。終盤ではもう泣く、泣く、泣いたー。場内が明るくなるのが恥ずかしくなるほどボロ泣き状態(^^;。感無量とはこういうことでしょうか。

しかしこれ、冒頭からどんどんネタバレ進行するので、ネタバレなしでの感想が書き難い…。宇宙で漂流してたアイアンマンがどうやって地球に戻ったのか、アントマンがどうやって量子世界から戻って来れたのか、それだけでもファンにはネタバレ相当だし、ましてや最初の方のサノスの地雷レベルのアレときたら…。けどそこから始めないと何も書けないし。

ただ、エンドゲームを見て分かったことがある。これはサノスVSアベンジャーズであると同時に、トニー(アイアンマン)の物語であり、スティーブ(キャプテン・アメリカ)の物語であり、そしてこの2人の交わりと帰結を描いた物語でもあったということを。だから最低でもアベンジャーズ3作の他に、アイアンマン単体3作、キャプテン・アメリカ単体3作は必須です。彼らの行動、葛藤、迷い全てがこの10年に渡る長い物語の帰結する先への伏線になっている。それを知って見るのと知らないで見るのでは作品の受け止め方に大きな違いが出てくると思います。あと、サノスを知るためにガーディアンズも必見。インフィニティ・ストーンも話のキーポイントですので、インフィニティ・ストーンが出てくる回も全て必見。…てか、ほとんど全部だな、これ(汗。これまでのシーンをふり返る場面もたくさんあるので、過去作を知っていればもう一度あの人に会えた!もう一度この場面を見れた!という驚きと喜びと楽しみも倍加します。見る順番についてはこちらを参照。

感想はネタバレコーナーで書くとして、まずは生き残り組のおさらいから。

生き残り組
トニー・スターク:アイアンマン。
スティーブ・ロジャース:キャプテン・アメリカ。
ブルース・バナー:ハルク。
ソー:雷神。
ナターシャ・ロマノフ:ブラック・ウィドウ。
クリント・バートン:ホークアイ。
ジェームズ・ローズ(ローディ):ウォーマシン。
スコット・ラング:アントマン。
キャロル・ダンヴァース:キャプテン・マーベル。
ロケット:ガーディアンズの生き残り。アライグマ姿。
ネビュラ:サノスの養女でガモーラの義妹。
オコエ:ワカンダ親衛隊隊長。
ヴァルキリー:アスガルドの女戦士。
ウォン:ストレンジの仲間の魔術師。
ペッパー・ポッツ:トニーの婚約者。
ハッピー・ホーガン:トニーの友人。
キャシー:スコットの娘。

<ネタバレ>

まずはインフィニティ・ウォーに登場しなかったバートンの「あの時」が描かれます。やっぱりサノスの指パッチンで家族を失ってたか…。そして宇宙漂流中だったトニー。キャプテン・マーベルが現れて、予想より早くほぼ序盤で地球に戻ってきます。サノスの野郎を探し出してやっつけて皆を元に戻す!とスティーブたちがサノスのいる惑星へ突撃しますが、インフィニティストーンは既にサノスに破壊されていた…。ちなみに地球組は宇宙に出るのこれが初めてなので、戸惑いつつロケットに先導される様子が可笑しかった。舞台が宇宙規模になって、地球組も宇宙を駆け巡らなければいけなくなったので、それで宇宙慣れしたロケットが必要だったのですね。見かけはアライグマでも中身は年期を積んだおっさんのロケット、いい味の先導役です。

キレたソーがサノスをぶった切るが、ストーンがない今、もはや打つ手はない…。為す術がなく、残された半数の人たちとこれからを生きるしかなくなった生き残り組たち。そして5年後。まさかの珍事でアントマンが量子世界から帰還。たまたま通りかかったネズミがスイッチを入れたから帰ってこれたって、そんなしょうもない理由で~。しかし5年後でも量子世界にいたスコットには数時間程度だった。そこから量子世界を使って時間を操れる可能性が。そんなん無理だと言っていたトニーがある夜閃いて量子世界とピム粒子を使ったタイムトラベルの理論を完成させてしまう。その理論では過去は変えられないが(過去に干渉しても別の時間軸が生まれるだけで現在の時間軸には変化はない=量子力学の他世界解釈に基づく平行世界の概念)、過去からストーンを持ってくることなら出来る…。

この5年でペッパーと家庭を持ち、娘を設けていたトニー。今の生活を守りたい一方でサノスに消されたピーター(スパイダーマン)への思いも強い。ストーンを集めて、消された皆を取り戻す作戦が始まります。なるほど、ストーンで消された者はストーンで戻せる…ということか。で、手分けしてサノスにストーンが渡る前に先回りして回収へ。なお、過去干渉で別の時間軸が生まれたら分枝した時間軸の未来へ戻ることになると思うのですが、トニーたちの作った装置では常に元の時間軸の未来へ戻る仕組み(トニーの発明したGPSみたいなもので?)になっているようです。

で、この過去へ戻ってストーンを集める作業がこれまでの作品をふり返るアルバムみたいになってるのが楽しい。最初のアベンジャーズでシールドが得たロキの杖がその後どういう経路を辿っていたのか、あの出来事の裏ではこんな話が等、裏話的なエピソードも満載です。この辺は10年間見続けたファンへのプレゼントみたいな感じも。それと回収作業を通じてトニーとスティーブの絆が戻ったのが嬉しかったです。しかし、回収はスムーズに行かない方が多く、これでけっこうな分枝が生じたような…。ロキ逃げ出しちゃうし。しかし辛い出来事も。ヴォーミアへ行ったのがナターシャとバートンの2人だなんて、これ選びようのない2択じゃないかー(ここでもう泣き)。

ナターシャ以外は帰還しストーンが6個揃うも、分枝した過去の1つで大問題発生。2014年へ行ったネビュラが元々いたネビュラと記憶を共有してしまい、トニーたちの計画が2014年のサノスに全部筒抜けに。自分の未来を知った2014サノスはそれで考えを変えて、半分減らしたのでは駄目だ、過去を知る者も一掃して世界を一から作り直さなければと、トニーたちの未来へ乗り込んでくる。この時サノスたちは未来ネビュラから奪った装置を使ったので、分枝した未来(時間軸Bとする)ではなく分枝する前の未来(時間軸Aとする)に来ることが出来ちゃったのですね。

time.png

イメージ的にはこんな感じかな(あくまでも私の個人的解釈ですが;)。ネビュラが過去のネビュラを殺しても消えなかったのも、過去のネビュラは分枝した別の時間軸Bのネビュラなので、元の時間軸Aのネビュラとは別の存在。平行世界理論ではタイムパラドックスは生じないのです。てことで、再びサノス&サノス軍団との大バトルに!

だがしかし! ハルクが6個のストーンを使った後だったので、復活したヒーローたちがドクター・ストレンジの輪で次々出現、うおおおっ!となりました。みんな、みんな、待っていたよー、復活するのを1年待っていたんだよー、よかった、よかった、お帰りヒーローたち! ヒーローたちの雪辱戦は爽快でした。今回はキャプテン・マーベルもいるので敵戦艦だって瞬殺だし!

それでもサノスにストーンが渡れば全ては終わってしまう。それを防いだのが──

「私はアイアンマンだ」

トニー!! 泣いたー。私の場合、数あるアベンジャーズキャラで一番気持ちが入っていたのがトニーだったと思います。それを自覚したのがシビル・ウォーの時かな。もっと若かったらスティーブの真っ直ぐな正義感に惹かれたかもしれない。だがそうなるには私は少し年齢を重ね過ぎたようだ。自分がトニー派だと気付いた時、トニーのこれまでの言動も葛藤も強さも弱さも全てが愛おしくなった。10年前、初めてアイアンマンを見た時を思い出す。思えばこの物語はアイアンマンに始まりアイアンマンで終わった。これはトニーの物語だったのだ──。

素敵な物語をありがとう。ありがとう、アイアンマン。私の中でトニーは永遠です──。

気持ちがトニー号泣に行っちゃったけど、ヒーローたち皆素敵だったよ。

以下は個人的解釈による補足です。

ラストのスティーブについて

分枝した過去への影響をなくすために、スティーブは過去から借りてきたストーンとムジョルニアを返しに行きます。しかし装置の中には戻って来ず、その代わりベンチで老人になって座っていました。ストーンを返すついでに本来の人生を送り直したらしい。ペギーと約束のダンスを果たせたのはよかった。スティーブもお疲れ様でした。ただ、それだと分枝が生じて装置を使わなければ元の時間軸には戻って来れないのじゃない?と思うのですが、その辺をどう処理したのかは見た人の想像にお任せしますってことかな。

サノスのいない世界

ストーンを返却しても、ロキが逃げ出しちゃった分枝世界や、サノスがいなくなった分枝世界では、元の時間軸とは大きく異なる歴史が展開しそうです。これらの世界ではアベンジャーズたちの運命も変わってくると思うので、ロキが新しい冒険を始めたり、インフィニティ・ウォーは起こらずトニーやナターシャが生きてる可能性もあります。ただサノスの後釜を狙う輩もたくさんいそうなので、新しい敵が生まれて別の何かは起きてるかもしれませんが…。今作のタイムルールでは「過去は変えられない」のでストーン以外で退場した人たちは復活できませんが、せめて今回生じた別の時間軸では活躍してくれているかもしれないと思えるところが救いですかね。

ガーディアンズのその後?

今回太っちゃってたソー(笑。パワーは変わらずだったようですが。ちゃっかりガーディアンズの船に乗り込んでたけど、あのままメンバーになっちゃうのかしら? 元の世界のガモーラは戻らないけど、分枝世界から来たガモーラはどうなったのかな。トニーが消した対象は過去から来た者たちだと思われるけど、それがガモーラにまで作用したかどうかは今のところは不明。この辺はガーディアンズ3で分かるのでしょうか。

エンドゲームは10年間アベンジャーズを追い続けた者にとっては、もう何も言うことない有終のラストでした。アベンジャーズに出会えてよかった。リアルタイムでアベンジャーズと共に過ごすことが出来てよかった。あらためて楽しい10年間をありがとう!