2001年宇宙の旅

1968年
時間 148分
監督 スタンリー・キューブリック

月で謎の物体モノリスが発見される。それは木星に向かって強力な電波を発していた。18ヶ月後、モノリスの目的と正体を探るため、ディスカバリー号が木星に向けて飛び立つ。しかし旅の途中でディスカバリーのコンピュータHAL9000が反乱を起こし、乗員は危機に。それを乗り越え木星に近づいたボウマン船長が見たものとは──。

私はこの作品を公開時に映画館で見ています。もちろんシネラマの大画面でです。若い人から見ればうらやましい体験かもしれないけど、残念ながらこの作品の真骨頂を味わうには私はまだ子ども過ぎた。せっかく「2001年宇宙の旅」を映画館で見ているというのに、何が何だかさっぱり分からない。おかげで隣で見ている父に質問しまくることになった。

私「ねえねえどうして猿が投げた骨が宇宙船になったの?」
父「猿が道具を使って知恵を持って人間に進化したことを表してるんだよ」
私「ねえねえどうして唇が大写しになってるの?」
父「ハルが唇を読んで何を話してるのか知ったんだ」
私「ねえねえどうして宇宙なのに部屋の中になったの?」
父「………」

今思えば父は落ち着いて映画を見られたのだろうか…。父に悪いことをしたと思う。今さらだけど謝らせて下さい。ご免なさい!(><。それでも怒ることなく、それからも映画館へ連れて行ってくれた父には感謝しかない…。

話の内容はさっぱり分からなかったが、それでも映像の凄さは印象に残った。宇宙船、宇宙ステーション、無重力で浮かぶペン、宇宙食、上が下になるディスカバリー号内での生活、宇宙服での船外作業、無音の宇宙の怖さ、ハル9000の魅力と凄みと怖さ、そのどれもがそれまでに見たことのない宇宙体験をさせてくれた。小学生にはそれだけでも極上の体験だった。これも私を映画好き、そしてSF好きにさせてくれた原体験映画の1つに違いない。

子どもの時の「何が何だかさっぱり分からない!!」という印象に引きずられて、長年「2001年宇宙の旅」は難解な映画だと思い込んでいたけど、近年BSなどで見返すチャンスを得て、改めて気付いたことがあり、ようやく長年の謎を解決することが出来ました!

当時の私は父の解説のおかげで「猿が知恵を持って人間に進化した」ことは理解できたけど、猿の進化とモノリスを関連付けて考えることが出来ず、猿が勝手に進化して人間になったんだと思っていました。だからモノリスの存在する意味が分からず(当然ラストの赤ん坊の意味も分からず)「あれって何?」になっていたんですよね。だけど大人になってやっと気付く。

<ネタバレ>

モノリスが猿の進化に関係なかったのなら、猿のシーンでモノリスを登場させる必要はない。関係があるからわざわざ登場させていたのである。モノリスと出会うことにより猿は知恵を授かり人間に進化したということだったのですね。猿がモノリスで猿を超えた存在(人間)に進化したのなら、人間もモノリスで人間を超えた存在(スターチャイルド)に進化するということになる。えっ、そんな簡単な話だったの!?(汗...。

モノリスが何かについては作中で示唆されてますが、キューブリックが説明を省いた作り方をしたため、「神あるいはそれに相当する超常的な何か」とも「高度な知的生命体(宇宙人)が作った生物を進化させるマシン」とも、どちらとも解釈できる作りになってます。だからそこはもう個人の好みで解釈しちゃえばいいのではないでしょうか。進化の要因なんて神でも宇宙人でもないよという考え方だってあると思うし、そういう場合でも「この作者はこう考えたんだね」で楽しめばいいのではと。

えっ、あの光の洪水とか、いきなり宇宙から部屋とか、ボウマンが歳とってくのは何でって? そんなの、モノリスがボウマンをスターチャイルドにするためにやってることだから、料理の過程を見物してるんだなという気持ちで眺めてればよろしい(てか、そんな例えでいいのか;;)。

なお、モノリスが月に埋まっていたのは「月まで行けるテクノロジーを持つ=次の段階に進化できる条件」だったのかなと思いました。ただ、それだけではまだ足りなくて、月のモノリスが示す木星のモノリスまで到達できたらやっと合格、スターチャイルドになる資格を得る、ということだったのかなと。なかなか審査が厳しいですね。2001年過ぎても月行っただけでやっとの人類はまだまだ合格できそうにないですね。

そういうことを考えるのも面白いけど、この作品の魅力はやっぱり映像とその見せ方にあると思う。父だって難解な話を小学生に見せたかったのではなくて、宇宙旅行を楽しませてあげようとの思いで映画館に連れていってくれたのだろうから。難しいことは考えずに宇宙を楽しむだけでも満足な作品。ええ、BD買ってBGVになってますともー。

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