デビルマン(実写映画)
年 | 2004年 |
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時間 | 116分 |
監督 | 那須博之 |
不動明は親友の飛鳥了の屋敷でデーモンに合体されるが、人間の心は失わずデビルマンになった。デーモンは世界中で人間と合体し始め、世界はパニックになる。明はデビルマンとしてサタンと戦うが…。
永井豪の名作コミック「デビルマン」の実写映画。公開当時はそれはもう凄い酷評で、「コレを越えるワーストはない」とまで言わしめた「別の意味」で伝説になってしまったらしい映画。しかし人間とは困ったもので、そういうふうに煽られると逆に「そこまで言われる作品ってどんなものだろう…」と見てみたくなってしまうものであります。原作コミックは子どもの頃に最後まで読了していて好きだったので、自分の目で確かめてみたくなり、レンタルで見ました。さて、感想は・・・
う~むむ・・・確かにコレは・・・・
冒頭からしばらくの間は頑張っているんじゃないか?と思えたのですが…。とにもかくにも演技が脱力し過ぎです。それに全体にただようこの余裕のなさと情けなさ感はなんなんだ…。デビルマンもほとんど活躍してないし。というか、この展開ならデビルマンいなくてもお話進められたような気が…。本当の主役は最後に残った女の子(ミーコ)と男の子(ススムくん)ですか?
でもよく見るとそれなりに原作に忠実に展開してはいるみたいです。が、さすがに2時間の映画の枠の中に5巻に渡る原作の全てを詰め込むのは無理なので、それなりに工夫して、映画ではテーマを「人間のおろかさ、人間の中の悪」に絞ったみたいですね。そのためデーモン狩りのエピソードをメインにして、人が人を襲う恐怖を描こうとしたのでしょうが、デーモンを「人間に虐殺されるかわいそうな弱者」と思わせるのはかなり無理が…。それにテーマ、結局ラストにつながってませんし。
映画版を見ながら、ふとそういえば原作のテーマって何だったのだろう…と思いました。子どもの頃は「うわー、凄い~」で感動して終れたけど、今になって思い返すとかなり難解だったのではという気が。原作のラストってどう解釈すればよかったんでしたっけ? 一緒に見た子どもに「映画はさっぱり分からなかったから、原作では最後はどうなったの?」と聞かれて答えられなかった…。映画化するには本当はすごく難しい作品だったのかもですね。
*ところで。
この実写デビルマンには、何故かデビルマン本人とは直接関係のないストーリーが挿入されてます。そのサイドストーリー?の主役になっているのがミーコとススムくんなんですね。いじめられっ子だったミーコはデーモンに合体されてしまうけど人としての心は失わずデビルマンになっていた。そんな彼女がススムくんを救う。そしてミーコはススムくんを最後まで守り通し、その過程で弱虫から強い自分へと成長していく。そして生き残ったミーコはススムくんと共に新しい世界へ旅立っていくのです。おおお、王道ではないかあ~。やっぱりこの映画の真の主役はデビルマンレディー、ミーコだったのだ!(笑
でもこのサイド?ストーリー、この映画にとってどういう意味があったんでしょうね。ミーコが不動明(デビルマン)と接触したのは牧村家でだけ。しかも明とは特に交流せず、明にもミーコの存在は何の意味も持たずに終る。ミーコと交流していたのは美樹だけ。美樹の渡したリップスティックが後にミーコの支えになります。ハルマゲドンはデビルマンがいなくても勃発してたし、美樹とミーコがいれば、この映画、成り立っていたわけで…。というか、その方がよっぽど分かりやすい作品になった気が…。
「デビルマン」だと思って見ると力が抜けますから、「デビルマンレディー・ミーコ物語」として見るとよいのではと思います。