インディ・ジョーンズ 最後の聖戦

インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 BD

1989年
時間 127分
監督 スティーヴン・スピルバーグ
制作総指揮 ジョージ・ルーカス

1912年、ボーイスカウト隊員だったインディ少年は盗賊から金の十字架を取り戻そうと奮戦、インディ・ジョーンズの冒険はここから始まった。1938年、大学で教えていたインディに聖杯の調査責任者が行方不明になった話が来るが、行方不明になっていたのはインディの父だった。父のために聖杯探しの依頼を引き受けたインディを待っていたのは父と共に調査をしていたシュナイダー博士(女性)だったが──。

インディシリーズ3作目。少年時代のエピソードが入り、インディがヘビ嫌いになった理由が明らかに。鞭を使うようになった理由、トレードマークの帽子の由来も。この辺もなかなか傑作。そして舞台は1938年、レイダースの2年後に移ります。1作目と似たパターンで始まりますが、今回は博物館長のマーカスも冒険行の仲間入り。1作目では落ち着いた人物に見えたけど、今作ではユーモア担当もやってくれて意外な一面も見せてくれる。1作目でお馴染みになったサラーも登場。相変わらずいいテンポでユーモアを交えて話が進むので、安定の面白さがありますね。

今回の依頼主は考古学博物館のスポンサーでもある富豪のウォルター・ドノバン。キリストの最後の晩餐で使われたという聖杯の手がかりを見つけたので調査に行って欲しいとのこと。実はこの仕事は聖杯の研究家であるインディの父ヘンリーが受けていたのですが、調査中に行方不明になってしまったので、息子のインディに話が来たというわけです。父が行方不明ではインディも話を受けないわけにはいかないですよね。

今回のヒロインはエルザ・シュナイダー博士。しかし彼女には秘密が──? そこへ聖杯を守る「十字剣兄弟団」が絡み、追いつ追われつしながら聖杯を巡る冒険が繰り広げられます。インディもだけど、お父さんもいいキャラしてますね。時代柄ナチスが絡みますが、「ひとたび自分のものにすれば永遠の若さと生命を授かり強大な力を持つことになる」という聖杯を手にするのは誰か──。もし聖杯が手に入るとしたら、自分ならどうする? ラストはちょっと寓話めいた結末になってます。

<ネタバレ>

ナチスも懲りずにオカルトに執心しているもようで、今回はイエスの聖杯に目を付けたようです。そして今回ナチスと組んでインディの敵になったのが、意外にも依頼者のドノバン。彼の目的は最初から「聖杯で得る永遠の命」だった。ヘンリーが研究成果をメモした手帳をインディに送ってしまったので、手帳を取り戻すためにヘンリーを幽閉してインディに話を持ちかけたのね。エルザも実はナチスでした。でもこの人がけっこうしたたかな女で、目的のためなら何でもするところあり。ジョーンズ親子も揃って魅惑される有様だったし(^^;。神殿での聖杯選びも分かっててやったな(怖。

インディとヘンリーは長年不仲だったようで、アドベンチャーアクションの裏で父子のドラマがさりげなく描かれてたのも今作のポイントの1つかな。インディの少年時代、研究に夢中で息子の話を聞いてくれなかったヘンリー。インディが崖から落ちて死んだ?と勘違いするシーンはギャグにもなってますが、同時にヘンリーが息子の存在の大切さに気付くシーンにもなっていたと思います。インディも父がドノバンに撃たれて、父のために命を賭けて聖杯の試練へ向かう。

「神の試練」はハラハラドキドキの見どころ。知識と人間性が試されるトリップでした。でも神の試練をクリアしても、宮殿の奥には「聖杯の選択」という究極の試練が待ち構えている…。正しく選べれば永遠の命、選択を間違えれば死。試練をクリアして正しく聖杯を選べたインディだけど、聖杯の効果には境界があるようです。もし聖杯を太陽の神殿から持ち出したら…。

ここに今作の真の「選択」があるような気がします。崩れゆく神殿で裂け目に落ちた聖杯を拾おうと手を伸ばす人たち。聖杯への欲で身を滅ぼしたエルザ。聖杯を諦め父を選んで助かったインディ。対照的な結末でした。聖杯研究に人生を捧げていたヘンリーが聖杯より息子を選ぶところも。インディもヘンリーも聖杯よりもっと大切な宝物を見つけたよね。素直によかったねと思うのです。

ラストでインディの名前の由来も判明。インディの本当の名前はヘンリー・ジョーンズ・ジュニアだったのですね。インディアナは飼ってた犬の名前でした。冒頭とラストと合わせてインディにまつわる色々なことも明らかになって、いい締めくくりになってました。