ナイト ミュージアム

ナイト ミュージアム BD

2006年
時間 108分
監督 ショーン・レヴィ

失業中のラリーは別れた妻と暮らす息子ニックのために自然史博物館の夜警をすることになる。ところがその博物館では夜になると展示物が動き出すのだった。展示物たちに振り回されながらも奮闘するラリー。息子に父の仕事と動く展示物を見せようと、ニックを博物館に連れてくるラリーだが、なぜかその夜に限って動かない? 展示物を動かす「アクメンラーの石板」がないことに気付いたラリーたちは石版の奪還を図る。

これは面白いです。まずは博物館の展示物が動くだけでも十二分に面白い。ティラノサウルスの骨格が館内を暴れ回り、マンモスやライオンなどの動物が走り回り、猿には鍵まで奪われる始末。モアイもしゃべるし、ロウ人形たちも動き回り、気性の激しい連中に追い回されたり、ミニチュア人形たちにガリバーみたいにされたり、仲の悪いグループらの仲介・世話焼きまでそりゃもう大変。彼らは夜しか動けないので、博物館の外で朝を迎えたら灰になって消えてしまうのです。そうならないように奮戦するわけですが、話の通じる相手ばかりじゃないしな…。

そして横軸にはラリーとニックの父子関係が織り込まれていて、子どもの期待に添えるような父親になろうと奮戦するラリーにもホロッ。ニックには「新しい父親」の方がかっこよく見えるけど、でもニックだって本当は実のお父さんを誇りに思いたいよね。ラリーとしては「クビになりかけてる情けない姿」ではなく、ここは何としても「ニックが誇りに思える活躍するお父さん」を見せたいわけです。

博物館の住人(展示物)はたくさんいるのですが、話の整理のためにメインになる人(物)たちをメモっておきますね。

[等身大]
ルーズベルト大統領:エントランスホールで馬に乗っている。
サカジャウィア:アメリカ先住民の娘で白人との通訳をした。ガラスの中にいる。
アッティラ:フン族。ラリーを八つ裂きにしようと追いかけ回す。
ネアンデルタール人:1人が外に出てしまって…
コロンブス:銅像。
アクメンラー王:古代エジプトのミイラ。が、包帯の中は美青年(笑。
南北戦争の兵士たち:顔なし人形。
[ミニチュア]
ジェデダイア:西部開拓ジオラマの住民。隣のオクタウィウスと仲が悪い。
オクタウィウス:ローマ帝国ジオラマの住人。隣のジェデダイアと仲が悪い。
マヤ族:インカ帝国ジオラマの住民。吹き矢でラリーに攻撃。
[動物]
デクスター:猿。鍵を盗む癖がある。
マンモス、ライオンたち:剥製。
[その他]
ティラノサウルス:骨格。実は骨で遊ぶのが好き。
モアイ像:ガムが好き。

<ネタバレ>

自然史博物館は人が来なくて経営が厳しくなっており、3人いた夜間警備員を解雇して新たに1人雇うということでラリーが職にありついたわけです。が、解雇された3老人が「アクメンラーの石板」を盗み、更に博物館から金目の物まで盗もうとしていた。この石版は展示物を動かすだけでなく、老人にも若さと力を与えていたようです。だから3老人は夜警をやめたくなくて、やめさせられるなら石版をいただいていこうと考えた様子。

石版を見つけたラリーとニックは、石版を動かして展示物たちを動かす。しかし石版は再び老人たちに奪われてしまう。ここでルーズベルトがラリーの生き方のいい指南役に。ルーズベルトは展示物の中では一番話が通じる相手で、いいおじ様でしたね。ここでお父さんとしても奮起しなきゃ!とアクメンラーを起こし、展示物たちをまとめて指示を出し3老人たちを捕まえて石版を取り戻したラリーはかっこよかったよ。

展示物たちにもドラマを持たせる細かい演出も楽しい。密かにサカジャウィアを想うルーズベルト、犬猿の仲のジェデダイアとオクタウィウスの共闘と和解、ラジコンカーの使い方、あちこちの博物館で展示されてきたおかげで様々な国の言葉を知ってるアクメンラーの博識ぶり、他にも小ネタいっぱいで、もうそれだけでも楽しめる。

石版騒ぎで外に出た展示物たちも無事館内に戻し一件落着したものの、館内は散らかって悲惨な状態に。クビになりかけるラリーですが、ティラノサウルスの足跡や博物館の上で騒ぐネアンデルタール人らがニュースになり、閑古鳥だった自然史博物館が盛況を取り戻したおかげで夜警を続けられることに。でもラリーにとって何よりも嬉しかったのはニックが誇れる父親になれたことでしょうね。ちなみに3老人は見逃してもらう代わりにお掃除をさせられてたようす!?