グランド・イリュージョン 見破られたトリック

グランド・イリュージョン 見破られたトリック BD

2016年
時間 129分
監督 ジョン・M・チュウ

前作で嵌められたサディアスが監獄でホースメンに復讐を誓っていた──。1年以上の潜伏期間を経てホースメンが再び動き出す。今回のターゲットはIT企業オクタ社。だがオクタ社のイベントを乗っ取るはずが、何者かにトリックが見破られていて逆にホースメンが嵌められてしまう。やむなく逃走に転ずるホースメンだが、NYにいたはずなのに何故かマカオに出てしまう!? そこで待っていた人物に"仕事"を依頼されるホースメンだが…。

*注意*
「グランド・イリュージョン」の続編ですが、前作のネタバレを知った前提で話が進みます。感想の中で前作の黒幕が誰なのかを明かしていますのでご注意下さい。以下は前作を見た方向けの感想です。

前作でホースメンを使って父の恨みを晴らしたディランは正体を隠したままFBI捜査官を続けてました。その間にホースメンでもメンバーの入れ替わりがあり、前作のヘンリーが抜けて代わりにルーラが参加。ディランの指示の元、新たなホースメンとしてオクタ社のイベント乗っ取りに向かうダニエル、メリット、ルーラの3人。前作で表向きは死んだことになっているジャックは裏方でサポート。しかしホースメンが乗っ取ったイベントが更に何者かに乗っ取られ、ジャックが実は生きていること、4人の黒幕がFBIのディランであることまで盛大にバラされてしまう。これは大変!

今回は前作でしてやられた方々がディランとホースメンにやり返すという内容になっています。もちろんディランたちだってやられたままでは済まさない。嵌めて嵌められ、騙し騙されのマジック合戦が繰り広げられますが、忘れちゃいけない、前作が観客をも騙しにかけるマジック作品だったことを。今作もそれは踏襲してますので、観客側も何が仕掛けられているんだ!?と期待しながら見る楽しみも。

今作の利点はキャラたちを既に知っているため、前作よりも感情移入しやすくなっていることです。ディランの過去も掘り下げられ、金庫抜けの名人だった父シュライクとの関係、シュライクとサディアスの関係なども語られ、前作で不足していた部分も補ってくれてます。ディランとホースメンの関係も今作で掘り下げられ、前作ではマジックの駒みたいだったホースメンたちにも人間らしいドラマがあって作品も深まった。それもあってクライマックスはめっちゃ爽快です。

<ネタバレ>

今作の敵は前作で預金を盗まれた保険会社のアーサーとその息子ウォルター。彼らにサディアスが接触し手を組んだという次第。メンタリストのメリットに双子の弟チェイスがいたことが判明、チェイスもアーサー側でホースメンの情報を収集したのも彼だった。マジックに長けたはずのホースメンが負けたのは、敵が彼らの手の内を知っていたためですね。

ウォルターに捕まったホースメンはコンピュータチップの盗みをやらされる。この時チップのある金庫内でホースメンが見せるトランプカード技は見ものです。一方ホースメンを探していたディランもサディアスから(逃がすのを条件に)ホースメンの居所を聞いてマカオに。やっと出会うディランとダニエルだけど、この時が2人にとって本当の"試練"だったのかもしれない。1年以上潜伏させられ不満だったダニエルはディランを突っぱねる。それでもダニエルを守るために身を投げ出したディラン。ウォルターに捕まり海に沈められたディランを助けに行くダニエルたち。2人が信頼を取り戻しホースメンが真に一体となった時、本当の勝利が訪れる──。

ここから反撃が始まり、今度はディランたちがウォルターの上を行く番。ウォルターの思う通りに事が運んだと見せかけ、実は騙されていたのはウォルターの方だった!というテムズ川のクライマックスショーは実に爽快。

そしてラストで今回もあっと驚くどんでん返しが。サディアスは敵じゃなかった! 実はサディアスは"アイ"のメンバーでシュライクのパートナーだった。サディアスは煽る役割を演じていただけで金庫の件は本当に事故。サディアスはディランに誤解される役に甘んじても、黙ってシュライクの息子の成長を影から見守っていたのである。だから冒頭のサディアスの復讐宣言は観客に向けた引っかけです。サディアスの目的は復讐心で動いていたディランが仲間(ホースメン)のために動く男に成長するのを見届けること。今回の一連の件はそのためにサディアスが仕組んだもの。ウォルターと手を組んだと見せかけ、ディランが金庫から抜け出せるように裏から手配したのもサディアス。てことで今作の黒幕はサディアスでした。

なかなかに複雑な騙し騙されが繰り広げられますが、話に緩急がついて、負ける→どん底→反撃→クライマックスの一大ショーという流れがテンポよく進むので気持ちよく楽しめます。個人的には物語としては前作より面白かった。ただし前作鑑賞済みという条件付きですが(^^;。

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