ダ・ヴィンチ・コード
年 | 2006年 |
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時間 | 149分 |
監督 | ロン・ハワード |
ルーブル美術館で館長ソニエールが殺害された。だが彼の体は奇妙な図形を示していた。ロバート・ラングドン教授はソニエールが残したダイイングメッセージから、ダ・ヴィンチの絵と聖杯を巡る謎探しに巻き込まれることになる。ロバートに容疑をかける警察、カトリック教会オプス・デイの殺し屋シラスから追われながら、謎の手がかりを追って物語の舞台はキリスト縁の地を駆け巡る──。
映画館へ行けなかったのでレンタルで鑑賞。先に原作を読んでいたので、どんなものかな?と思っていたのですが、意外に面白くて楽しめました。映画だと人物が動くし、しゃべるし、カーアクションも入るし、それに実際のルーブル美術館やテンプル寺院なども見ることが出来て、小説とは違った臨場感を味わえてよかったです。小説を読んだ人でも楽しめる作品ではないかと。
内容は小説にほとんど忠実。ほぼそのままに展開してくれるので、端折ってる部分があっても原作を知っていればついていけます。テンポも私的にはこれぐらいポンポンと進んでくれた方が小気味よくていい感じ。というか、別に言われているほど展開早くは感じなかったです。逆にさっさと進めぇ~と言いたくなるくらいのところも。むしろ小説の方がジェットコースター的雰囲気は強かったような。
ただ、人物関係や背後の設定(宗教や西洋史方面の知識)に関しては映画だけでは説明不足で分かりにくい面もあるかもと思いました。小説だと必要な箇所でその都度説明が出てきて補足してくれるのでいいのですが。それでもルーブル美術館やテンプル騎士団の墓地などキリスト縁の地を観光旅行させてくれる楽しさは映画ならでは。
夜のシーンが多かったせいか、全体に画面が暗かったのですが、レンタルで見た当時はテレビが古いブラウン管だったため細部が潰れてよく分からず、子どもたちから「うちも早く液晶テレビにしてー」と言われた思い出が…(^^;。
<ネタバレ>
今作の柱は2つ。1つはソニエール館長殺人事件の真相、もう1つは聖杯にまつわる謎解き。推理ものなので、ソニエール殺人事件の真犯人(実行犯に指示を出していた導師の正体=黒幕)についてはここでは敢えて触れません。あっと驚く推理劇ならではの展開を楽しんで下さいとだけ言っておきます。その代わり、聖杯の謎についてはかなり大胆な説を展開しているので、そちらについて少し触れておこうと思います。
ソニエールのダイイングメッセージは彼の孫のソフィーにラングドンを探せと指示するものだった。ソフィーとラングトンはソニエールの残した暗号を読み解き、答の示す場所で新しい暗号を見つけてそれを解き…を繰り返して聖杯探しをすることになる。ここで問題になるのが「聖杯とは何か」です。キリストが最後の晩餐に使った杯と言われてますが、今作では杯ではなく、キリスト教を根底からひっくり返しかねないものと設定付けられてます。
もしキリストに妻と子どもがいたら? その子孫が今も生きているとしたら? 聖杯とは実はキリストの子孫のことだった? 私には面白い設定に思えましたが、キリスト教信者にとってはとんでもないことなのかも? それはキリストの神格化を妨げるとしてキリストの子孫を消そうとする一派と、彼らからキリストの子孫を守ろうとする一派の抗争劇になる。そこに乗っかったのが黒幕という次第。
今作の背景にあるのが歴史のロマン。遠い昔の歴史は残された資料から紐解くしかないが、それは果たして真実なのか。それは勝者が都合のいいように書いたものかもしれないし、その裏に知られなかった真実がいっぱい隠れているのかも知れない。ルーブル美術館の地下にマグダラのマリアが眠っていたら…と考えるのも楽しいじゃないですか。大胆な歴史解釈がロマンとドラマを生むのが面白いのです。